くじびきバレンタイン

作:GD

〜 2月15日 午前9:00 事務所 〜

律「おはようございますプロデューサー。
  アレ食べてもらえました?どうでした?」
P「どうでしたって言われても…俺にはなんの事だかさっぱり…」
律「ちょっと!昨日プロデューサーの部屋に何か届いたでしょ?」
P「そういえばS川急便の不在連絡票があったような…。」
律「あーもう!何やってんですか!ああ…昨日じゃなきゃダメなのに…。」(しょんぼり)
P「誰かさんが義理チョコもくれないから、のんだくれて帰りが遅くなったんだ。俺は悪くないぞ。」
律「だからその荷物が…もういいです。今日は私のテンションが低いので休ませてください!」
P「どうしたんだ急に。」
律「休ませてくれないなら、明日ドタキャンしますよ?」
P「わかったわかった。今日は休みにしよう。それでいいか?」
律「帰ったらさっさと荷物を受け取ってくださいね。絶対ですよ?」 


自宅に帰って荷物を受け取るP。荷物は律子からだった。
そっけない段ボール箱の中から、赤い包装紙にリボンを巻いた綺麗な箱が出てきた。

P「これだったのか…しかしなんでまたこんな回りくどい真似を…。」

綺麗な箱を開けると、まず薄いプラスチックの箱が出てきた。DVDらしい。
「必ず最初に見るように」と書かれている。素直にPCで再生するP。
律子が自室で撮影したと思われる映像が流れ始めた。


律「あーあー、見てますかプロデューサー。貴方の担当アイドルの律子です。
  バレンタインデーの夜にこれを見ていると思いますが、
  昼間私からチョコを貰えなくて落ち込んだりしていませんか。
  他の子達からいっぱいチョコを貰って、私のを忘れていたら怒りますよ。」

「安心しろ律子、俺はメチャクチャ落ち込んだぞ。」一人で呟くP。

律子の話は続く。

律「もうわかったと思うけど、私からのチョコはS川急便で贈る事にしました。
  このDVDと一緒に入っています。これ見終わったら食べてくださいね。
  私が初めて作った手作りチョコレートなので、味の保証はできないけど、
  親愛なるプロデューサー殿なら文句を言わずに食べてくれますよね?
  そして私は今年はこの1個しかチョコを作っていません。
  渡すのもプロデューサーだけです。ここまで言えば、鈍いプロデューサー殿でも、
  これがどういうチョコか解って貰えますよね?」

しばらく頬を染めて黙ってしまう律子。 


律「返事はしなくてもいいです。私の気持ちを伝えたかっただけだから。
  明日からも今まで通りにレッスンとオーディションを頑張りましょ。お互いにね。
  バレンタインデーって今までくだらないって思ってたけど、
  初めて悪くないかもって思ってます。これもプロデューサーのおかげです。
  ありがとう…。私からは以上です。」

さーチョコ食うかーとPは動き出したが、映像は終わっていなかった。

律「せっかくなので私とプロデューサーの相性みたいなものを
  試させて貰おうと思います。チョコは3個入れましたけど、
  本当に美味しいチョコは1つだけで、あとの2つはワサビを大量に入れたハズレです。
  私が本当に食べて欲しいと思っているチョコ、プロデューサーなら
  きっとわかると思います。それを一つだけ食べてください。
  ちゃんと美味しいチョコを食べられたなら、私とプロデューサーの相性は
  とてもいいって事なんだろうと思います。
  その時は…これからもずっと…一緒にいてもらえると嬉しいな…。
  明日の朝、美味しかったか聞きますから、それだけ答えて下さいね。」


今度こそ映像は終了した。Pはチョコを見てみる。律子の言ったとおりに
花形、星型、ハート型の3つのチョコが入っていた。これのどれがアタリでどれが
ハズレだなんてハッキリ言って全くわからない。こりゃ相性もクソもないよなあ…。
ぶっちゃけ、ここでハズレても、明日は美味かったと答えればいいわけだし。
いやまてよ、本当にスンゴイ不味い奴を食ったら、明日の朝答える時に
顔に出てしまうのではないだろうか?それでばれたら意味が無い。
もういっその事、今どれも食わずに明日美味かっただけ言おうか。でもそんな、
せっかく律子に貰ったチョコを食わないなんて絶対に嫌だし、賞味期限的に
いつまで大丈夫かもわからない。くそう、知的な戦略は伊達じゃねえな。

しばらくPは考えていたが、軽く深呼吸して決心すると、星型のチョコを手に取った。
一気に食べる。ぱくっ。


…………美味かった。 


〜 2月16日 午前9:00 事務所 〜

律「おはようございます。プロデューサー。」
P「こんばんわ律子。」
律「なんでこんばんわやねん!って、思わずつっこんじゃったじゃないですかぁ〜」

いつもどおりの挨拶。しかしいつも通りの挨拶の後、二人は微妙な雰囲気で沈黙した。

律「…プロデューサー。昨日はちゃんと食べてもらえましたよね?」
P「ああ、ありがとう、ちゃんと食べたよ。」

緊張をあからさまに表情に出しながら律子は聞いてきた。

律「…で、どうでしたか?美味しかったですか?」

最高の笑顔でPは答える。

P「うん、美味かったよ…というかだな、

  3 つ 全 部 美 味 か っ た ぞ !」

律「!!!!!!!」

律子の顔が一瞬で真っ赤になる。

P「考えてみれば、律子が3分の1の確立に賭けるなんてありえないしなー。
  あやうく騙される所だったよ。ふふふ。」
律「全部食べちゃうなんて…なんでそんなに意地汚いんですか!」
P「律子お前、俺が律子の作った料理を、ハズレだと聞いて食わないと思ったのか?」
律「普通は食べませんよ!」
P「だって普通じゃないしなー。」(ニヤニヤ)
律「そんなの理由になってません!!」
P「まーアレだな、3つとも美味かったという事は、
  765プロ1の頭脳派アイドルの律子さん曰く、二人の相性は超超最高というわけだな。」
律「そんなの真に受けないでください!」
P「俺はそれでいいと思ってるし素直に嬉しいんだけど、律子は違うのか?」
律「…もう…馬鹿ぁ…。」

以後、Pと律子の関係はちょっとだけいつも通りじゃなくなったのであった。
とっぴんぱらりのぷう。 



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