ある日の牛丼屋 -雪歩-

作:426

「あー……雪歩。俺、腹減ったんだけどさ…どこかで食事にしないか?」
「えぇっ!?ぷ、プロデューサーと一緒に、食事、ですか……」
「(まずそこからかよ!?)…家まで我慢できるなら、その辺のコンビニで
何か買ってくるけど…そっちの方がいいか?」
「いえ、あの…行きたいですっ、プロデューサーとお食事、すごく行きたいです!」
「ああ…そう言ってくれるなら助かる。…それで、場所なんだけどさ」
「はい、ここが良いです!」
「お、おいおい…(誘おうとしたのは俺だけど、まさか雪歩が入りたがるとは…」
「あの、私…お父さんにこういうお店には入っちゃいけませんって言われてるから…
でも、お父さんのお弟子さんたちはいつもここの新作が美味しいとか、話してて……
【牛丼】って、どんな食べ物なのか、ずっと想像していたんですっ!」
「うーむ…それはいいけど、基本的に安いからなぁ…想像と味のギャップが
はげしく違っていても、責任は持てないぞ…」
「大丈夫ですっ!きっと美味しいに決まってます!さあ、入りましょう!」

それから雪歩は、丼から紅しょうがの見た目やら、牛丼のおつゆの量が調節できる
ことなどに大いに感動していた。
はじめての体験と言う感覚が、アシストをしたのかも知れないが…
彼女はすごく喜んでいた。
最後に、「お父さんには、内緒にしていてくださいね!」と何度も念を押され、
俺と雪歩を乗せた車は、彼女の自宅へと急いでいた…

萩原雪歩の注文:牛丼並(つゆ少なめ)、味噌汁、生たまご。 



戻る

inserted by FC2 system