ある日の牛丼屋 -真-

作:426

「プロデューサーぁ……お腹すきましたー!どこかでご飯食べて行きましょうよー」
「真……俺もまさにそれが言いたかったんだ。でも、場所がなぁ…」
「何言ってるんですか、目の前にあるじゃないですか。丁度良いのが」
「それはそうだが…牛丼屋だぞ?男の子と間違われそうで、真はこういう店は
苦手かと思ってたんだが…いいのか?」
「うー…まぁ、それは確かにありますけど、慣れっこですし。
父さんと何度も行ったことありますから、今更そこまで気にしませんよ。それに…」
「…それに?」
「実は、今けっこう限界で…プロデューサーにお腹の音、聞かれちゃう方が恥ずかしいです…」
「(…こういうところは、普通の女の子以上に可愛いんだけどな…)じゃ、入るか」
「はいっ!行きましょうー」

「さて…俺は大盛りに豚汁付けようかな…真も大盛り、いくか?」
「(ひそひそ)プロデューサー……ちょっとお願いがあるんですけど」

(…なんだろう?こんな場所で内緒話だなんて)
「(ぼそぼそ)プロデューサー、注文特盛りにしてくれませんか?差額はボクが出しますから」
「(ひそひそ)…別に特盛りでも喰えるけど、どうして?」
「(ひそひそ)…だって、プロデューサーが大盛りなのに、女の子のボクが特盛り食べるって、
恥ずかしいじゃないですかっ!?」
「はぁ!?別に誰もそんな事気にしないって……気にせず特盛りいけよ」
「ぷ、プロデューサー!……声がおっきい…」

真が途端に真っ赤になる。
別に、沢山食べる女の子がいたって良いと思うんだけどなぁ…

「(ひそひそ)…とにかくっ、お願いしますっ!担当アイドルのイメージが落ちてもいいんですかっ!?」
「はぁ…わかったよ。真がそこまで言うなら、よっぽど何か大事なこだわりでもあるんだろうし。
しかしだな…真。そんなに腹が減っているなら、良い方法があるぞ。
俺も腹が減りすぎている時はよく使ったんだが……並盛りを2杯食べるんだ。
特盛りと同じ料金で、はるかに多い量を喰えるぞ」
「なるほどぉ……って、そっちの方が恥ずかしいじゃないですかっ!?
大食いに加えて、なんだか貧しいイメージありますよ!?」
「はは…冗談冗談。これは学生時代の非常手段さ。今はさすがにやらないって」
「じゃ、プロデューサー、一緒に特盛り食べましょうねっ♪」

腹が減っている時の真は、やよいに負けないくらいに幸せそうに飯を食う。
一昔前の、お茶漬けCMのような仕事があったら、是非取ってきてあげたいと思った。

菊地真の注文:牛丼特盛り、豚汁、半熟たまご、コールスローサラダ。 



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