いつもと変わらぬ、騒がしい時間に愛しい時間

作:マターリ

「んーーーーっ!っと」
真は思いっきり背伸びをした
「はぁーっ・・・楽しかったぁーー・・・」
「そうだな・・・あれだけ騒いだのは久しぶりだなぁー。」
「そうですね!みんなが集まれて良かったです!」
二人は事務所の外で涼んでいる所だった。

今日は真の誕生日と夏の終わりということでアイドルやスタッフ全員が集まって飲み会をした。
アイドルがいるということでお酒は入れるなという風に言われていたが
スタッフのほとんどからブーイングが飛び、しょうがないのでテーブルをお酒とジュースに分けた。

が

やっぱりというかなんというかハプニングは付き物で亜美真美がお酒を見て「これおいしーのー?」
と言って気づいた時には遅く、お酒を飲んでしまった。・・・後は言いたくないので結果だけ言う。

犠牲者は春香、千早、雪歩、伊織、亜美真美・・・くらいだろうか
律子は回避して、やよいは「うっう〜・・・まずいです〜・・・」と言って後はジュースにしたし
あずささんはお酒に強いらしく、いくつか飲んでいた。

春香は「私だって個性はあるんですーーーー!!」とか言って泣き出すし
千早はなんかプロデューサーの一人と目を合わせてはそらし目を合わせてはそらし・・・
雪歩は・・・まあ言わなくても解るか。今どのくらい掘ってるんだろうか?
伊織は「何よ!あたしのお酒が飲めないっていうの!?」・・・絡み酒か。担当プロデューサーは大変だな
亜美真美は酔った皆を見て大笑いしてた。止めようとは・・・思うわけもなく、もっと酔わせようとしてたな・・・。

律子は一人俯いて「・・・後片付け誰がするのよ・・・」・・・多分酔ってない人達だろうなぁ。
やよいはタッパ持ってきて「これはお父さんと、えーっと、お母さんと・・・」・・・手伝う人もいたし泣いた人もいたな。
あずささんは「あらあら〜楽しそうですね〜」と皆を見て言っていた。
・・・あずささん、俺には阿鼻叫喚な地獄絵図にしか見えません。

そんなこんなで今は一段落して、事務所の屋上で真と二人で事務所の外で涼んでいた 


「そういえば真って、お酒は飲まなかったのか?」
「ボクですか?勧められはしましたけど・・・見つかっちゃうと大変ですし」
「・・・今の事務所内を撮られたら路頭に苦しみそうだな」
「プ、プロデューサー・・・変な事言わないでくださいよぉ」
「はは、悪い悪い」
「もぉ・・・」

「・・・真、誕生日おめでとう」
「・・・ありがとうございます。・・・へへ、やっぱりプロデューサーに言われるのが一番心に響きますね!」
「はは、そう言われると嬉しいな」
「えへへ・・・」
「・・・ごめんな」
「え?」
「誕生日プレゼント」
「え、そ、そんな!いいんですよ!こんな風に皆集めてくれて、それにプレゼントまで要求したらバチがあたりますよ!」
「でも・・・さ」
「いいんです!プロデューサーは毎日大変なんだし、ボクや他のみんなをずっとサポートしてくれますし・・・」
「・・・そうか?」
「そうですよ!だからそんな事気にしなくていいんです!」
「・・・」
「もぉ・・・プロデューサーは優しすぎですよ・・・」
「う・・・ごめん」
「謝らないでくださいよ・・・」
真ははぁーとため息をついた
「いや、ほら・・・癖だよ癖!」
「そんな癖取ってくださいよぉー」
「しょうがないよ、仕事先とかにはこの癖が役立ってるんだからさ」
「う・・・」
真にも思い当たる節があった
「色々大変だったなぁーあの頃は?」
「うぐ・・・」
「真が(女の子っぽくなりたいんです!)とか言ってあんな事「わー!!わーーー!!」むぐっ!?」
真は慌てて彼の口を手で塞いだ
「す、過ぎたことじゃないですか!忘れてくださいよぉー!!」
「むー!むぐーー!」
「い、今はもうそんな事思ってないんだしいいじゃないですかぁー!!」
「むーーーーー!」
「もうあんな事言いませんし、プロデューサーの前でしか女の子になる気はありませんからぁーーー!!!」
「むぐっ!?」
「・・・あ」 


ばばっ

「・・・」
「・・・」
「・・・あ、あははは」
「はははは」
「あははははは〜〜・・・」
「ははははは・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・な、なにか言ってくださいよぉ〜・・・」
「・・・真こそ」
「・・・」
「・・・」

沈黙が続く

「・・・」
「・・・」
「・・・ありがとう」
「・・・?」
「・・・俺さ、真と一緒にいれて良かったよ」
「え!?」
「今の俺がいるのは、真のお陰だと思う」
「・・・プロデューサー・・・」
「・・・だからさ」
「・・・」
「・・・俺も、真の役に立ってて嬉しいかなって・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・役に立つ所じゃないですよ」 


「え?」
「ボクは・・・もう、プロデューサー無しじゃ生きていけないかも・・・」
「・・・それは大袈裟じゃないか?」
「大袈裟なんかじゃ・・・ありません」
真は首を横に振った
「最初は・・・ボクも、男っぽいのは嫌だから女の子っぽくなりたいって思って・・・」
「・・・」
「だから、周りの人たちやプロデューサーにも迷惑かけて・・・」
「・・・」
「でも!・・・でも、プロデューサーは・・・」
「・・・」
「プロデューサーは、ずっと側に居てくれました。どんな時も、ずっと・・・」
「・・・」
「プロデューサーがいたからここまで来れたし、一番側にいてくれたから、ボクは・・・」
「真・・・」
「えへへ・・・こんな事、面と向かって言うのは・・・恥ずかしいですけど・・・
ボクはプロデューサーがいてくれるだけで嬉しいんです!」
「・・・」
「だから、そんな事言わないで下さい・・・ね?」
「・・・うん」
「・・・プロデューサー?」
「ん?」
「・・・ずっと側にいてくれて、ほんっっとうに、ありがとうございます!!」
「・・・俺も、ありがとうな。真」
「・・・えへへへ・・・」

「・・・そろそろ、戻ろうか?」
「・・・そうですね」
「本音としては?」
「・・・えっと・・・もうちょっと・・・二人でいたいかなって思ってたり・・・あ、あははは・・・」
「んじゃ、もう少し涼んでいくか?」
「え?」
「・・・俺も、二人でいたいしさ」
「・・・はい!」 


一方、屋上の扉の隙間では


「うむ。仲良き事は美しき事かな、だな」
「何見てるんすか、社長」
「君も見ているではないか」
「いいじゃないっすか。あの二人はすでに事務所名物っすよ?」
「・・・まったく、スキャンダルになったらどうしてくれるのよ・・・」
「なら止めるか?律子」
「いいえ。今止めたら後の活動に影響を残します」
「・・・言えてるよなぁ」
「きゃーっ!きゃーっ!真があんなに女の子っぽくて・・・」
「落ち着け春香。見てるのがばれたら俺らみんな大目玉くらうぞ?」
「で、でもでも!うわーっ!ドラマ見てるみたいだよぉー!」
「・・・覗き見だぞオイ」
「なにやってるんだよまこちんー!ここはやっぱりお決まりの!」
「そうだよねー!やっぱり最後はちゅーして終わるのだよー!」
「やめい」
「えーっ!?ドラマってそうでしょー!?」
「そうだよー!ちゅーしてドラマって終わるんだよー!?」
「どんなドラマ見てきたんだよ・・・」
「ふ、ふん!私だったらもっと大胆に行くわよ!」
「伊織、対抗せんでよろしい」
「何でよ!?私のナイスバディな身体が通用しない訳ないでしょ!?」
「・・・いや、もういい」
「・・・まったく、あんな破廉恥な事を・・・」
「・・・千早、言動と行動がまったく逆だぞ」
「わ、私は別に・・・き、気になってるわけでは!」
「真ちゃん・・・あ、あんな事・・・」
「雪歩、だから掘らんでいい」
「わ、私もうこんな場所にいられません〜」
「掘るなと言っとろうに」
「あらあら〜真ちゃん〜ったら〜」
「あずささんまでいるんすか・・・」
「やっぱり最後は・・・あれですかね〜?」
「最後は!?最後はなんですか!?」
「うっう〜・・・どきどき・・・」
「やよい!お前は見なくていい!」
「で、でも・・・みんな見てるので・・・」
「そんな連帯感は持たんでいい!」
「・・・悩みの種が増えなきゃいいけど・・・」
「・・・小鳥さんくらいっすよ分かってくれるの・・・」
「あはは・・・やっぱり大変ですよねぇ」
「・・・」

相変わらずの面々が揃っていた 


「・・・あの、プロデューサー?」
「ん?」
「・・・プレゼントの代わり、もらってもいいですか?」
「え?」
「・・・ボク・・・その・・・えっと・・・」
「・・・」
「あのー・・・い、言いますね!」
「う、うん」
「・・・欲しい・・・です・・・」
「へ?」
「・・・その・・・」
真は自分の唇を指差し
「・・・ここに・・・」
「え・・・?」


「「「「「「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」」」」」


「ぷ、プロデューサー!・・・きゃあーーっっ!!」
「ええい春香!落ち着けい!」
「「ちゅー!ちゅー!ちゅー!」」
「亜美真美!二人そろってどこかで見たことあるような腕の振りをするな!」
「・・・」
「律子!何カメラを持っとるかぁ!」
「あ、あんな破廉恥な事を・・・くっ!」
「千早!さっきより顔が赤いぞ!」
「あらあら〜、真ちゃんったら大胆ねぇ〜」
「あずささん!身を乗り出さないで下さい!」
「うっう〜・・・き、緊張しますぅ〜・・・」
「やよい!お前は見るなぁ!」
「わ、私だったら・・・私だったら・・・」
「伊織!張り合うのはやめい!」
「あああもう私はこんな所にはいられませぇぇぇん・・・」
「雪歩!掘るな!修理代大変なんだから!」
「うむ、このようなドラマを求めていたのだ!」
「社長、壊れ気味っすよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「小鳥さん!まじまじと見るとばれますって!!」 


「・・・いいのか?」
「プ、プロデューサーだけなんです・・・」
「・・・」
「お願いします・・・」
「・・・」
「ん・・・」
真は目をつぶった
「・・・」
彼はゆっくりと真に近づく


「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」


カチャン
「はっ!?」
「わっ!お、おい誰だ押してるのは!?」
「り、律子さん!押さないで!」
「カ、カメラが・・・!」
「ええいそんなのは捨て置けい!」
「それじゃ私がいたことがばれるじゃないですか!」
「り、律子さ・・・うわ、うわわわわあああぁぁ!!」


ガチャッ!


「っ!?」
「えっ!?」


ガラガラガラーーーーーーーッ!!!


そこから出てきたのはおなじみの面々だった 


「・・・」
「・・・」


二人は呆然として見ている


「・・・律子ぉぉぉぉぉ・・・?」
「ご、ごめんなさい・・・」
「律っちゃん〜」
「あらあら〜」
「きゅう・・・」
「そんな事はどうでもいいから、早くどきなさ〜い!」
「わ、私は何を・・・?」
「うっう〜・・・くるしいです〜・・・」
「・・・こんな事だとは思ったけど・・・」

「・・・・・・」
「お、おーい、真〜?」

真はゆっくりとその面々に近づき


「な に を や っ て い る の か な 〜 ・・・・?」


明らかに怒りを含んだ声だった


「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」


「亜美真美」
「「何ですか隊長!」」
「ここから俺達が身の安全を確保できる方法は?」
「「間違いなく逃げる事であります!」」
「よろしい・・・んじゃ、用意はいいな?」
「「完璧であります隊長!」」
「・・・せーの!!」

「「にっげろ〜〜〜〜〜〜!!!!!」」 


「きゃわあああ!?」
「春香!つまずいてないで早くしろ!」
「わ、私は・・・」
「千早!弁明なんてできっこないんだから逃げい!」
「え?はえ?わ、私は穴掘ってて・・・」
「雪歩!今の真に言葉は通用しない!」
「カメラ持ったし、それじゃ失礼します!」
「ええい一番の実行犯が先に行くか律子ぉぉ!」
「うっう〜!と、とりあえず逃げるんですかぁ〜?」
「亜美真美についていけば大丈夫だやよい!」
「あらあら〜、大変ですねぇ〜」
「あずささん!今の真には敵味方区別ついてないですから!」
「わ、私は何も見てないわよ!?」
「弁明は通用しないと言ってるんだろう伊織!」
「私はいつでも二人の吉報を待っているぞ〜!」
「社長そんな事言うのは逃げてからっすよ!!」
「それじゃ、私も失礼しますねー!」
「なんで笑顔なんですか小鳥さん!」

「くぉぉぉらああぁぁぁ!!!」
「真!」
「なんですかああああぁ!!?」
「追っても無理だって!」
「いいえ!!みんなをとっ捕まえて何を見てたか白状させます!!」
「いいから!」
「・・・解りましたよ!!・・・うぅ〜・・・」
「・・・はぁ〜」

変わらないなあ と彼は内心笑いながら思った

(くっそ〜・・・いい所だったのに〜!!)

と真は怒り心頭で思った 


彼は真の頭を撫でながら
「ゆっくり戻ろう?な?」
「うぅ〜・・・」
「機嫌直せよ・・・」
「・・・戻ったら」
「?」
「戻ったらみんなに問い詰めてやる・・・」
「・・・」
「うううぅぅ〜〜・・・」
「・・・」
これは機嫌戻さないとなあ と彼は思った
(それに・・・まだ、だったよな?)
「・・・」
「うううううぅぅぅぅ〜・・・・・」
「真」
「・・・なんです

ちゅっ



「・・・へ」
「・・・俺も」
「え?」
「・・・俺も、真だけだから」
「ふぇ?」
「それじゃ、戻るか〜」
そう言って彼は戻っていった 顔がすごく赤かったが
「・・・」
真もしばし放心状態の後

ボンッ

「・・・ふぇえええぇぇぇええええええええええ!?!?!?」

顔を真っ赤にした

「え、えっと、い、今、ボ、ボクに・・・」
「ちゅって・・・ちゅって・・・」


「・・・プ、プロデューサーーーーーー!!不意打ちなんて卑怯ですよぉぉぉぉぉ!!」
真は彼の後を走りながら
「もう一回!実感沸かなかったから!!もう一回お願いしますーーーーーーーー!!!」
こう言いながら、顔は幸せそうな顔をしていた。 



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