自業自得の再現デート?

作:GD

〜 後日 事務所 〜

「あーいたいた、プロデューサー。ちょっとこれを見てもらえるかしら。」
「ん?なんだこれ?」

律子はプロデューサーに1枚の書類(企画書?)を読ませる。

「みんなに新しいレクリエーションを提供…とでも言うのかしら。
 これをやれば、みんなのモチベーションもかなり上がると思うのよね。
 実現する為にはプロデューサーの協力が必要なんですけど。
 まあ、プロデューサー殿はなんでもしてくれるみたいだし?
 何も問題は無いと思いますけどね。」
「なんだこりゃ!?こんな事してもいいのか?」
「文句を言うアイドルはいないと思いますけど。」
「そうじゃなくて…ほら…律子がさ…。」
「ああ、それは大丈夫。ここには書いてませんし絶対に秘密ですけど、
 後でプロデューサーには同じ事をして埋め合わせてもらいます。それでいいわ。」
「うーん、埋め合わせねえ…」
「同じ事をしてもらいますからね。」(キッパリ)
「本当にそれだけでいいのか?」
「ただし 絶 対 に 同じ事をしてもらいますからね!」
「どんな事でもか?」
「本当に ど ん な 事 で あ ろ う と 同じ事をしてもらいますからね!!」
「律子がそれでいいならいいけど…。」 


〜 更に後日 会議室 〜

律子の号令でアイドル達が会議室に集められた。
クソ忙しい中を全員が頑張って集まった理由は言うまでも無い。
会議室を見回して全員揃ったのを確認すると、律子は話を始めた。

「はーい、みんなにも既に連絡が行っていると思うけど、
 今回みんなを集めたのは例の話についてです。
 みんな最近は仕事ばっかりの忙しい毎日を送っていると思うけど、
 それでも女の子らしい部分も磨いて欲しいという事で、
 オフの日に近くの男性と一緒に出かけたりする事をオススメします。
 まあ…プロデューサーしかいないんだけどね。
 ただ、それを各自で勝手にやるといろんな問題が出そうなので、
 事前に申請すればOKという形にしたいと思います。
 要するに、申請すればプロデューサーとデートできるっていう制度ね。
 社長の了承も得たし、プロデューサーも協力してくれるそうです。
 そうそう、費用は必ずワリカンね。あまり出費の無いデートを考えてください。」

うむ、と黙ってうなずくプロデューサー。

「おお…」全員がマジだったか!といったふうにどよめく。 


「はいはーい!」
「はい、亜美。」
「ちゅーはありなんですかー。」
「前にそれで凄い事になったので、今回はなし!とします。」
「ええー、それじゃつまんないよー!」
「真美も文句を言わない!これ以上プロデューサーから絞り取ったら
 プロデューサーのただでさえ少ない給料が完全に無くなってしまいます。
 キス以外で工夫して、楽しいデートの予定を考えてちょうだい、いいわね?」
「はぁーい…」

「だいたいわかったかしら?それではみんなに、
 デートの予定を考えて貰おうと思います。
 今渡した用紙にデートの日程を、なーるーべーくっ!細かく書いてください。」

何か思いついた面々は既に何かを書き始めている。

「しかし…どうして細かい予定まで先に考える必要があるのでしょう?」
「千早ちゃん、それは簡単な事ですー。だって細かく書かないと、
 今度は律子さんが不安になってしまいますから〜。ですよね?」
「ええ、まあそんな所です。」

律子は察しがいいが微妙にずれているあずささんの話を否定しない。
本当は後でプロデューサーと再現する時の為なのだが、
そう思って貰った方が都合がいい。完全なハズレでもないし。 


しばらくの間、さらさらとペンの走る音だけが部屋に響いた。
そして全員のデートプランが書かれた紙が律子の元に集められる。

春香『お菓子作り教室』
真『スポーツ観戦』
千早『クラシックコンサート』
雪歩『有名デパートのお茶イベント』
伊織『有名ブランド店ショッピング』
(以上詳細は略)

「みんな案外普通ね…よかったわ。」

ホッと胸を撫で下ろす律子。しかぁ〜し、
こんなもので終わる位ならこんなSS書いてません。 



あずさ『私のお部屋』

天然な人キター!!

「あの…あずささん?これはいったいどういうデートなんでしょう?」
「あのですね〜、そろそろお部屋の模様替えをしたかったので、
 プロデューサーさんにお手伝いして貰えたらなあ…なんて…だめでしょうか〜?」
「いえ、それだけならいいんですけど、
時間が早朝から深夜になってるのはいったい…?」

「それはですねー、私がお部屋の模様替えをすると、いつも夜遅くなって
 しまうからなんです〜。この前も友美に手伝って貰ったのですけど〜、
 それでも夜遅くまでかかってしまって、結局泊まってもらって
 次の日までかかりました〜。」
「プロデューサーもそこそこ力持ちですから、そんなに時間はかからないと思うのですが。」
「えーっと、そういう事ではなくてですね〜。頑張ってタンスの位置を変えたのに、
 なんだか思っていたほど良くならなくて、また元の場所に戻したりですね〜。
 今度はまた別の場所を考えて動かしてみたのに、やっぱり元に戻したりとか〜。
 とにかく時間がかかってしまうんです…だからいつも途中で友美にも怒られてしまって、
 本当に満足な模様替えというものをした事がなくて…力持ちのプロデューサーさん
 となら…と、思ったのですけれど…。」

「また1日で終わらなかったら、どうするつもりですか?」
「その時はプロデューサーさんに泊まって貰ってもかまわないですよ〜。
 ちゃんと晩ごはんも朝ごはんも食べてもらいますし。
 お風呂に入ってもいいですし、今日はお疲れ様でしたって
 肩を揉んであげたりしちゃいます〜。
 あらあら?もしかして、それって新婚さん気分かもしれませんねぇー。
 お疲れ様ってお酌をしてあげたりして、とても楽しそうですー。うふふっ。」 



ここで裏ルールの確認「同じ事をして埋め合わせる。」

律子の部屋の模様替えに付き合わせて、Pを泊める事になるかもしれない。
(というかたぶん泊める事になるだろう。)

「できるだけ早く終わるように頑張ってくださいね…。お泊りはできるだけしない方向で!」
「わかりました、頑張りますー。うふっ、うふふっ。」

キッチリと釘を刺してはみたものの、既に新婚気分モードに入ってぽわわわんと
妄想しているあずささんを見て、言っても無駄なんだろうなあ…と思う律子であった。

ちなみにプロデューサーは今からゲッソリしていた。
穴を掘ってその穴を埋めさせられるような拷問を思い出したり。
雪歩に穴掘りのコツをきいておこうかなあ…と思ったり。(穴掘りじゃないけど)

後日再現デートの時、律子の部屋の模様替えをPが手伝ったのだが、

「これを向こうに動かして」
「…3センチこっちにずらしてもらえるかな…」
「やっぱ2センチこっちに」
「やっぱ1センチあっち」
「ちょっとだけ向き変えてみて」
「半分だけ戻して」

秋月家に泊まれたのは嬉しかったけど、
律子の場合もあずささんの時とあんまり変わらなかったという。 



気を取り直して次。

やよい『私の家』

貧乏少女キター!!!!
更に詳細を読んで律子はブッ!とお茶を吹いた。

「や…やよい、詳しく話してもらえるかしら?」
「私はお金がもったいないので、プロデューサーにはお家に来て欲しいですっ!
 一緒にお洗濯をしたりお掃除をしたりして、そして
 手をつないで夕飯の買い物に行って、商店街の人たちに、
 これが私のプロデューサーですって、みんなに見せて歩きたいですっ!
 そして家族みんなと晩ご飯を食べた後に、プロデューサーのひざの上に
 抱っこしてもらってテレビを見たいですっ!
 きっと家族のみんなにはお姉ちゃんなのに子供みたいって
 笑われちゃうかもだけど…。だめですかぁ?」

「この手を繋ぐってのは、いつからいつまでかしら?」
「はいっ!買い物の間ずーっとですっ!本当は一日ずーっと繋いでもらいたいけど…、
 それだとお洗濯もお掃除もできなくなっちゃうかも…うっうー…。」
「やよいの近所の商店街では、やよいって有名人なのよね?」
「はいっ!みんな私を応援してくれてますっ!みんないい人ですっ!
 そしてプロデューサーの事もみんな知ってますっ。
 私がいつもみんなにお話するからなんですけど、えへへ…。(照れ)
 今度見せてっていつも言われてますっ。だから、みんなに見せたいんですっ!」

「最後のだっこしてテレビってのは…どうしても必要なのかしら?」
「前はお父さんによくやってもらっていたんですけど…、
 最近は「やよいはお姉ちゃんなんだから」って言われて弟たちばっかりなんです…。
 たまには私もしてもらいたいなー…ってずーっと思ってました。」
「そ、そう…それは必要よね…。」
「後ろからぎゅーってしてもらいながらテレビを見ていると、
 気持ちよくっていつの間にか寝ちゃってて、
 それをお父さんがお姫様だっこでおふとんに運んでくれるんです。」
「お姫様だっこ…す、凄いわね…。」 



裏ルール確認「絶 対 に 同じ事をして埋め合わせる。」

律子の家の掃除洗濯を手伝った上に手を繋いで夕飯の買出しに行って抱っこしてテレビ。

再現デートの時の話。
ちなみに律子も近所の商店街ではかなりの人気者である。
小さい頃から値切り交渉しまくりの商売人っぷりを見せていたので、
「値切りの律っちゃん」と呼ばれ、恐れられつつ親しまれている。
しかも商店街の祭事には、その委員長っぷりを発揮して仕切りまくり。
跡継ぎの若い衆達に気に入れているのは当然、商店街の重鎮達も
「嫁にするなら律っちゃんみたいな子にしろ」と言い切る始末。
(ハチクロの山田さんを想像してくれればだいたい合ってます。)

そんな所に律子はほんのりと頬を染めつつ男と手を繋いで来るのだから、
商店街の若い衆達の心中たるや不憫すぎて、
私の拙い文才ではとても描写できませぬ!

そしてPは商店街の若い衆達の挑戦を次々と受ける事になり、
身も心もボロボロになるのだが、
(ファミコン版スパルタンXを想像してくれればほぼ合ってます。)
この時のPは、そんな事態になるなんて想像出来ずにチャーミーグリーンの
CMとか想像してワクテカしていた。甘いゾ!

だっこしてTVは秋月家お茶の間でやったら
二人して速攻変な雰囲気になったので、両者合意の後
即お姫様だっこ寝室運搬に移行して終了。(一応ルール尊守) 



そして最後。

亜美真美『プロデューサーの部屋』

お子様キター!!!!!

詳しい内容を読んで律子は机に無言でパタリと突っ伏した。
頭からは煙がモクモク出ている。
「わーん、律っちゃんが死んじゃったよー!」
「…勝手に殺さないでちょうだい。」

「あのね…この内容なんだけど…本当にやるの?」
「うん、亜美はね、兄ちゃんの部屋で一緒にゲームして遊びたぁ〜いっ!」
「真美もーっ!」
「違う、その後よその後!」
「そんでそんで、お腹がすいたら兄ちゃんが美味しいご飯を作ってくれて、
 それをあーんして食べさせてもらうの。
 お姫様みたいに、亜美も真美も何もしないの!」
「お金もかからないし、朝から夜までずぅーっと兄ちゃんと一緒で楽しいし、
 サイコーだよね!デートなのにずっと家にいるってすごいよね!
 もしかして真美達って天才?」

「ちょっと!私が確認したいのは、もっと後の事なんですけど?」
「そいからそいから、お泊りだもん、もちろんお風呂にも入るよぉー。んっふっふー」
「兄ちゃんに体を洗ってもらうの!!」
「亜美も真美も、ただ座っているだけで、兄ちゃんに体中すみずみまで
 キレーにしてもらうの!」
「そこまでしてもらえたら、チョーお姫様って感じだよねー!」 



裏ルール確認「ど ん な 事 で あ ろ う と 同じ事をして埋め合わせる。」

Pの部屋でゲーム、その後ご飯を食べさせてもらって一緒にお風呂に入る。

あたり前だが律子は猛反対。

「そんなのダメ!絶対無理!!お願いだからやめてえぇ!!!」
「え?律っちゃん何の話してるの?」
「お風呂に入るのは真美達だよ。真美達がオッケーなら何も問題ないよねー。」
「ちょっと亜美も真美もいい?貴女たちもうすぐ中学生なのよ?
 アイドルとしても一人の女の子としても、そろそろ年頃の男性と一緒に
 お風呂に入る事を恥ずかしいと思うようになって欲しいわね!」
「律っちゃん、わかってないなー。だーかーらーこーそ!今一緒にお風呂に入るんだよーん。」
「そうそう、真美達は中学生になってから兄ちゃんと一緒にお風呂に入ってもいいけど、
 みんなにバレたら兄ちゃんはロリコンの罪でタイホされちゃうもんねー。」
「律っちゃん、今一緒に入らないと大変だよー。
 亜美達は中学生になってから兄ちゃんとお風呂に入っちゃうかもしれないよ〜?」
「中学生になったら友達の家にお泊りしてもいいってパパとママが言ってるから、
 兄ちゃんの所にも毎日のように泊まりに行けるしね。兄ちゃんを悩殺しまくりだよー。」
「ううっ、それも困るわね…じゃあこうしなさい、一緒にお風呂に入ってもいいけど、
 体を洗ってもらうのは無し。そんなの私が絶対に無rじゃなかったえーと、
 プロデューサーが野獣のようになって襲われちゃうわよ。
 絶対にやめておきなさい。いいわね?」
「亜美は別に兄ちゃんなら襲われても構わないよー」
「真美もー」
「とにかく!絶対に!やめておきなさい! い い わ ね ?」

律子は亜美真美をギロリと睨む。亜美真美は渋々いう事をきく。

「ちぇー、兄ちゃんと一緒の布団でギューってしながら寝るからいいもん。」
「あーん亜美ずるーい!真美も兄ちゃんにギューってしながら寝るのー!」
「あんたたち、恐ろしい事を次から次へと…キャラじゃないけどくっ…。」
「律っちゃん、これくらいならいいよね?」
「ええ…もう好きにしてちょうだい…。お風呂の話の後に聞くと
 たいした事ないみたいに聞こえるのが恐ろしいわ…。」
「じゃあこれで決まりでいいの?やったー!」
「わーいわーい、兄ちゃんとデート!兄ちゃんとデート!」

なんかすごく幸せそうなPと対照的に、
何故か死ぬほどがっくりとうなだれている律子。

他のアイドル達も、自分のデートをプロデューサーの部屋に
変更したいと言いたくて機会をうかがっていたのだが、
言える雰囲気じゃないので、結局誰も何も言えなかったという。 



そして再現デート編。エロいから期待してね!というのはウソですすいません。

Pと律子はゲームをやって遊んだが、律子が部屋に来た時から
変にそわそわしているPはどうやら他の事を考えているらしく
ボーっとしており、まともにゲームを遊べる状態ではなかった。
律子は何度も『このエロデューサー!』と思ったが、
「それ」をPのリアクションで確認してしまうのが嫌なので口に出さなかった。

昼飯はチャーハンで夕飯はパスタだった。
味は悪くなかったが、亜美真美と同じように
あーんして食べさせて貰ったので律子はすごく恥ずかしがった。
しかもパスタを食べる時に口の周りに付いたクリームソースをPが
いちいち丁寧に拭き取るので必要以上になんかドキドキしてしまう
オマケつきであり、食べ終わった時には律子のほうがクタクタだった。

食事の後しばらく休憩して、いよいよ(Pが)お待ちかねのお風呂である!!

もうね、Pのワクテカのレベルが違う、
ボム3個分位はパラメータがアップしてそうな感じ。それくらいのワクテカ。

P「律子、じゃあそろそろお風r」
律子「てやっ!」

律子から不意の一撃を食らったPは一瞬で気を失ってゆっくりと崩れる。
(ワンダと巨像の巨像が倒れるシーンを想像してもらえれば…
 …イヤ、これは違うな、ごめん忘れてください。)

アノアテミである。
説明しよう!アノアテミとは、映画とかでよくある
見張りとかを背後から一撃で落とす、あのパンチだか手刀だかの事である。
っていうか名前は今考えました!本当はなんて言うんですかねアレ。

まあ、そんな技を食らって意識を失ったPは律子にずるずると
お風呂場に運ばれ、Pが気絶している間に律子は速攻で
お風呂に入ったのであった。

…つまんなくてごめん。
ここはエロパロ板じゃねえんだこの野郎!(逆ギレ)
…ホントごめんなさい。orz

お風呂が終わった後に息を吹き返したPのガッカリっぷりはホントに凄くて、
あしたのジョーの最後のコマみたいな燃え尽きっぷりだった。
律子はちょっとだけかわいそうな事をしたかな?と思った。

最後の「兄ちゃんと一緒の布団でギューっとしながら寝る」は
お風呂上りにパジャマを着た上からいつものシャツと冬用の上着と
外出用のコートを着込んだ上でPと一緒の布団で寝た。
一応背中をくっつけているのでギューッとしてるのと同等という事に。

律子「プロデューサー…もしかして泣いてる?」
P「泣いてねーよ………………………………………ううっ」

Pは亜美真美と一緒の時はあんなに楽しかったのになーなんて思いつつ、
律子はこっちもドキドキしてるなんて気付かれてたまるかーなんて思いつつ、
こんな近くにいるのに、かえって寂しいため息を吐きながら、
二人の夜はふけて行くのであった。 


そんな事があったりして、結局この企画は2度と催される事は無かったという。
…企画が催される事はなかったのだが、
相変わらずあずささんは部屋の模様替えの度にPを呼び出すし、
相変わらずやよいは夕飯の買出しにPを付き合わせるし、
相変わらず亜美真美はPの部屋に泊まりに行くのであった。

そしてそういう事がある度にPと律子は再現デートをするのであった。

既にPが律子の部屋の模様替えの後秋月家に泊まる時や、
商店街に手を繋いで買い物に行く時、律子は前ほど嫌な顔をしていない。
更に一緒にお風呂に入る時にPを落とす力が弱まっていたり、
一緒の布団に入る時にパジャマの上にコートのみだったりする。
律子はPが早く気付いて何か言わないかなと思いながら、
もうこれで何度目かわからない、アノアテミをPに食らわせるのであった。 



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