リトルブレイバー

作:ファル

ここは765プロダクション、その事務所に女の子が一人来た

やよい 「おはようございま〜す、プロデューサー」

そして男が一人

P 「おはよう、やよい」

そう、彼女はアイドルの高槻やよい、そしてやよいのプロデューサーである

P 「やよい、これを見てくれないか…」

やよい 「何ですか?これ」

やよいが覗き込んだ紙には、12月24日に行われるクリスマスライブについて書かれていた

P 「今日からこれに向けて練習していくから、そのつもりで」

やよい 「………」

P 「やよい、どうした?」

やよい 「何でも…無いです」

やよいは力なく答えた

P 「歌うのは俺が決めた4曲と、やよいが決めた曲の5曲だ、わかったな」

やよい 「はい…」(どうしよう…) 




同日 午後5時17分
公園

やよい 「どうしよう…3曲で限界なのに5曲なんて…」

やよいは一人ベンチに居た
やよいが心配しているのには理由があった
やよいは仕事で1度ライブハウスでライブをした際に
体力が限界に達し倒れてしまったことがあるのだ
やよいはまた二の舞にならないかと心配していた

やよい 「私には無理だ…5曲もやるなんて…」

あずさ 「どうしたの〜、暗い顔して」

やよい 「あずささん…」

そこに現れたのはやよいとデュオを組んでいる三浦あずさだった
11月までデュオで活動していたのだが、あずさのほうで仕事が立て込み
事実上ソロ活動になっていたのだ

あずさ 「何か悩み事でも〜」

やよい 「実は…」

やよいは、ライブのことを打ち明けた…

あずさ 「そんなことがあったの…」

やよい 「3曲で限界な私なのに…5曲なんてできると思いますか?」

あずさ 「できるわよ…きっと」

あずさ 「自分を信じて限界まで行くのよ!やよいちゃん」

やよい 「自分を信じる…そう、ですよね」

あずさ 「その意気よ!やよいちゃん」

あずさ 「じゃあ、そんな私から歌のプレゼント、聞いてね…リトルブレイバー」

あずさ 「例えば 日カゲでゆれるその花をなぜか愛しく思い
「どうにかして日なたに」と悩めたら少し強くなれる
例えば 大事な人の泣くスガタに言葉が出なくても
「とっておきの唄」を聴かせてあげれればナミダも止められる…」

あずさが歌いだしたのはBUMP OF CHICKENの「リトルブレイバー」だった
リトルブレイバーとは「小さな勇者」という意味である

あずさ 「自信を持って いいハズさ 僕ら時には勇者にでもなれるんだ
守るべきものがあればリトルブレイバー、守るべきヒトがいればリトルブレイバー
「どうにかして日なたでとっておきの唄を聴かせてあげよう」
だからもう泣かないで 僕が守るから…」

曲も佳境に入った

やよい 「リトル…ブレイバー」

あずさが歌い終わる

あずさ 「どう、やよいちゃん」

やよい 「ありがとうございました、さようなら」

あずさ 「さようなら、やよいちゃん」

やよいはいったい何を思ったのだろうか… 


12月24日 午前7時47分
ドーム 控え室

あれから数日たちあっという間にライブの日になった…

P 「そろそろ行くぞ…用意は良いか?」

やよい 「ばっちりです!」

P 「頼もしいな、行くぞ」

そしてライブが始まった…
鬼門であった3曲を越して後1曲になった
最後の曲は…

やよい 「この曲は…私が勇気をもらった曲です」

やよい 「聞いてください…リトルブレイバー」

最後の1曲はあずさに歌ってもらった
リトルブレイバーだった
やよいは何を思ってこの曲を選んだのだろうか
リトルブレイバーが終わると…

やよい 「メリークリスマス、みんな!」

こうしてライブは終わった
やよいは裏口に居た

やよい 「ライブのとき私はリトルブレイバーになれたかな」

やよいがあの曲を選んだのはやよいが「小さな勇者」だったからだろう
そしてやよいは、また新たなる一歩を踏み出したのである 



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