765プロのひな祭り 亜美真美編

作:GD

今日は珍しく静かな765プロ。
事務所で待機中のアイドルも何人かいますけど、
皆それぞれレッスンや学校の勉強や帳簿付けをしています。
しかし応接室の方から聞こえてくる双子の喧嘩が全ての静寂を打ち破ります。

「あーん!真美ばっかずるいよぉー!亜美も兄ちゃんとチューしたいのー!」

ブボッ!(Pの茶吹きSE)

アイドル達のつめた〜い(自販機風)視線がPに集中します。

「な、何を言ってるんだあいつら!」

刺すような視線から逃げるように応接室に飛んでいくP。
話は数日前に戻ります。 


「兄ちゃん、兄ちゃん!今度の日曜日はヒマ?」
「ヒマなら真美達のおうちに来るといいよぉ〜。」
「今はね、亜美たちの家にお雛様が飾ってあるんだよぉ〜。」
「超ゴージャスな奴だから、兄ちゃんも見に来るといいよ。」

丁度両親と今後の二人のアイドル活動について
話をする用事もあったので、Pは亜美と真美の家に訪ねて行きました。

「亜美と真美のお家へようこそ兄ちゃんくん!」
「とりあえず、白酒でも飲みながらゆっくりしていってチョーダイ!」

早速お雛様が飾ってある部屋に通されるP。
飾ってある雛飾りを見て絶句。

「…な、なんじゃこりゃ…」

まず人口密度がマジでハンパない。通常の倍はいます。
なんでこんなにミッチリ詰めてあるんだ…。
楽器の人とか10人いるし、多すぎだろ常識的に考えて…ふたみカンタービレ?
しかも最上段には女雛が二人。ある意味この二人っぽいのですが…。

「んとね、最初パパはお雛様を亜美と真美用で二個買って飾ってくれたんだよ!」
「でもそれじゃ亜美と真美が離れてて寂しいから、いっこにまとめちゃったの!」

「まとめる」とか簡単にやっちゃうのがお子様クオリティ。
持ち主の二人が納得してるなら、これもいいのかもな…。
なーんてPが合体倍密度ひな飾りを見ていると、亜美真美は飾られていなかった
男雛を一つ持ち出してきて、女雛二つの横に乗せます。

「今日から兄ちゃんも仲間入りだよ!」
「これを兄ちゃんに見て欲しくって、今日は来てもらいたかったの!」

おおおー!二人が女王様の国に自分も仲間入り、
こんなに二人に懐かれているとは嬉しい限り。
今まで一緒に頑張ってきた甲斐があったというものです。 


Pがじーんとしていると、
早速そんな感動をぶち壊す怒号が聞こえてきました。

「あーん、やだー!真美も兄ちゃんの隣になりたいー!亜美ばっかずるいー!」
「だってそっちに兄ちゃん置いたら亜美の隣じゃなくなっちゃうもーん、兄ちゃんはこっちなのー!」

どうやらP役の男雛を右から置くか左から置くかで喧嘩になったようです。
二人ともひな飾りの最上段にやっと手が届くくらいの身長なので、
横からしか乗せられないらしく、どっちから乗せるかでもめてるみたいです。

「「うううううううううううう!!!」」
男雛を両側から引っぱりあっていますがさすが双子、
力の差も殆どないらしく、中心の男雛は完全に停止しています。
これはすごいな。なんてPは一瞬感心しましたが、さらにその一瞬後



ポキッ



P(男雛)の首が折れました。

プロデューサー、殉職!(ナレーション:田中信夫)
笑い事じゃありません。


「ま…真美が…手をはなさないから…」
「亜美だって放さなかったくせに…」
「…にいちゃんの首が…取れちゃったよぉ…」
「にいちゃん…ごめんね…にいちゃん…ううっ」
「「ああああああん!!にいちゃんごめんなさーい!!」」

二人は大声で泣きじゃくります。どうしたもんかとしばらく考えていたPでしたが、
二人とも反省しているみたいだし、二人を慰めてあげる事にしました。

「ほらほら、俺がちゃんと直して来てやるから、
 二人とも泣くのをやめて仲直りしなさい。いいな?」
「…なおるの?」「…ちゃんとくっつく?」
「まかせておけって、俺がちゃーんと直してやる。
 ちゃんと直ったらお前達も仲直りしろよ。いいな?」
「うん…。」「わかったよ兄ちゃん…。」

壊れた男雛を持ってしばらくその場を離れるP。
そして戻って来た時には、ちゃんと男雛の首はくっついていました。
更に単にくっついただけじゃありません。
首が回って右を向いたり左を向いたりします。
更にカチカチと小気味よい音を出しながら、首の角度が変わります。

「兄ちゃんこれ…」
「リボルバージョイントだね!」 


マミー「ハァーイ、ここで番組を見ているみんなに、とっても嬉しいお知らせだ!
    みんなはフィギュアやガンプラををいじっていて、ここに間接を増やせたらなあ…。
    なーんて思うことはないかな?」
アミー「マミー!あるよあるよ!増やしたいと思っても改造するのは大変だし、
    そもそも質の良い間接ユニットを手に入れるのが大変なんだ!」
マミー「HAHAHA、OK。そんな悩みを解決するのがこの商品!
    それがこのリボルバージョイント!
    これは世界的一の模型メーカーである海洋堂とNASAが共同で開発した
    間接ユニットで、加工の簡単さと良質な間接、この二つの要素を完璧に
    兼ね備えた究極の間接ユニットなんだ。誰だって手に取ってみれば、
    その良さを感じる事ができると思うよ。」
アミー「ワーオ、接続したいパーツ二つに穴を開けて刺すだけなんて、
    最高に簡単じゃないかマミー!しかもラチェット機構付きで
    好きな角度の保持もしっかりとできるし、これは完璧だよマミー!」
マミー「ポールにもこの良さは解ってもらえたみたいだねHAHAHA!!」
ポール「は?俺がポール?」
アミー「もちろんさポール!Pと言ったらポールしかないだろう。」
マミー「崩拳の使いすぎで友達を無くさないように注意しな!HAHAHAHA!」
ポール「そっちのポールかよっ!」

(微妙に嘘が混じっているから鵜呑みにしないようにね) 


「コラッ!二人とも正気に戻れっ!」
「う…また亜美の記憶が飛んでる…」
「うん…なんだろう…真美怖いよ…」
「亜美も真美も、そんなに気にしなくてもいいと思うぞ!」
「そうなのかな…」
「兄ちゃんがそう言うなら…」

3人が落ち着いた後にやっと普通の話に戻りました。

「しかし凄いね兄ちゃん、こんな直し方があるなんて真美本当に驚いたよ。」
「プロデューサーとしてはダメダメなのに、こんな事は上手なんだねー。」
「はっはっは、亜美は酷いな!兄ちゃんもたまには泣く事があるんだぞ?」

「じゃあねー次はあれだね!」
「うん、こうするしかないよね!」

二人は不敵に笑いながら眼を合わせると、
一人一つずつお雛様を手に持ち、気合の掛け声と共に
首をへし折りました。

双海亜美、殉職!(ナレーション:田中信夫)
双海真美、殉職!(ナレーション:田中信夫)

「ごめんなさい兄ちゃん!亜美は大事なお雛様をまた壊しちゃったよ。んふふ。」
「兄ちゃんが直してくれないと、真美たちまた泣いちゃうかもよ?んっふっふ〜!」
「あー、わかったわかった。またリボルバージョイントでくっつけてやるから、
 おとなしく待っているんだぞ。」
「やったー!これで亜美の首もカチカチ曲がるようになるんだね!」
「真美の首もぐるぐる回るようになるんだよ!わーいわーい!!」

という事があって、Pが亜美真美のお雛様を改造しておげたのでした。
しかもひな壇の最上段中央部まで手が届くPは二人の女雛の間に男雛を置き、
不公平にならないようにしました。これぞ大岡裁きによる大団円。
ブラボー、おおブラボー兄ちゃん!

そんな楽しい亜美真美とPのひな祭りでした。 


って、えーと、冒頭の亜美の暴言の説明になってないですね。
それは上のちょっと後の話になります。

Pが亜美と真美のお雛様を改造して帰った後、
こっそりと合体改造ひな飾り(強そうだな)に近づく影が一つ。
真美です。

真美はPの男雛と真美の女雛の首の角度を調整し、
かなり苦しい体勢ですがなんと、キッスをしているようなポーズにしたのでした!!
真美ってばおませさん!!

そのまま黙って放置して数日。亜美がそれに気付きました。
亜美も頑張ってPと亜美のキッス状態にしようとしたのですが、
コツが掴めずなかなかその体勢にする事ができません。
そして真美にやってもらおうとして断られて以下略。な感じです。

「うあーん!亜美も兄ちゃんとチューしたいのしたいのー!」
「あのな亜美、皆に誤解されるからもうちょっと言葉を選んでくれないk」
「チューしたいチューしたいチューしたいの!亜美は兄ちゃんとチューしたいの!!」
「あー…ダメだコリャ…。真美、お願いだからたまには変わってやってくれないか。」
「そしたら真美が兄ちゃんとチューできないし、絶対にやだもーん。」
「やだー!亜美も兄ちゃんとチューしたいよおおおおお!あああああん!」

ますます激化する二人の喧嘩に、ちょっとうんざりしてきたPは
強制的に二人を黙らせる事にしました。具体的には書きませんが、
応接室から出てきた二人は顔を真っ赤にしながらほっぺたを押さえていたそうです。
その様子を見ていた他のアイドル達からは、Pに更に刺すような視線が降り注ぐ事になりました。

双子と一緒に事務所からバックレるP。しばらく事務所には戻れません。
夜になってからこっそりと帰ってきたのですが、やっぱり待ち構えていた
年長組の面々に捕まって延々と説教されるPなのでした。 



上へ

inserted by FC2 system