Explosion ver'春香

作:522

 ある日のことである。
 夕方俺は、いつもより早めに今日の報告書を作成していた。今日はここ―勿論、我らが
765プロダクションのことだ―に所属しているアイドルの大半がオフなせいである。
今日は、唯一仕事の入っていた子―天海春香である―の帰りを待つばかりとなっていた。
 書くこともあまりない報告書。終わるまでに時間がかからないのは自明の事であろう。
一通り仕事を終えた俺は、徒然なるままに、ヘッドホンをつけ・・・・・・なんだかちょっと前
にもこんなことあった気がするが・・・・・・まあ気にしない。ともかく、目下の所冥王星へと
旅立つ・・・・・・もとい、瞑想にふけっていたんだが・・・・・・
 
男の座っている位置からそう離れていない場所。事務室奥にある給湯室。なぜかそこに、
仕事中であるはずの少女の姿があった。
「ふふふ・・・あの二人の言ってた話が本当か確かめなくちゃ」
真っ黒い笑顔を浮かべて彼女は男の方へと近づいていった。どうやらこのあいだ痛い目に
遭った二人から話を聞いたようだ。アイドルといえど、やはりティーンエイジャー。噂な
どは大好きなのだろう。
 彼女は音もなく男へと近づき、そして・・・・・・
 ああ、また誰かがヘッドホンを奪い取りやがったよ。
 仕方ないから、向こうが聞き入るのを待って後ろを見た。
 まぁ、正直絶句したよ。春香がいたんだから。
まあいい。事情は後々小一時間問い詰める事にしよう。まずは向こうをどうやってびっく
りさせるか。それが問題だ。
 そして俺は、思いつきのままにプレイヤーを操作する。
 十五分ほど後。
 明らかにガッカリした顔が春香に広がる。さあ、いよいよ本番だ・・・・・・!
「はわわわ〜・・・」
 
 この後、春香に散々なじられるハメになった。まあ、
「春香、仕事は?」
と聞いたら
「あ、いや、それはその〜・・・・・・」
としどろもどろになった。こうなればもはやずっとこっちのターンだ。
 この後、逆に小一時間問い詰める俺と、しょんぼりする春香の構図が繰り広げられたの
は言うまでもない。
                 fin 



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