次どうする?

作:522

 その話は突然のことだった。
 
 二週間ほど前のことだったか、社長から直々にミッションを言い渡された。
「失礼します。社長、何の御用で?」
「ああ、実は君に頼みたいことがあってな」
「はあ」
「時に君はバ○ダイナ○コという会社を知っているかね?」
社長も変なことを聞いてくるものだ。まさか、知らないとでも思ってるのだろうか、あの
会社を。
「あ、いや、そんなことは思っちゃおらんよ。実はこの会社、我が765プロダクションに
出資していてな、ま、いわゆるスポンサーという事だ」
それは初耳だ。・・・・・・まあ、名前とかから類推出来ないか、といえば恐らく嘘になるんだ
ろえが。
「で、だ。向こうの方から、株主総会にアイドルを一人出してほしいという依頼があって
の。私個人としてもあの会社には以前から世話になってるし、無碍に断るわけにはいかな
かったのでな」
・・・・・・?世話になってる?どういうことだろうか・・・・・・って気にしたら試合終了っぽいからまあそっちは置いておく事にして。
「え〜と、バンダ○ナム○の株主総会っていつでしたか?」
「確か・・・・・・きっかり二週間後だったか?」
そ、そりゃ急すぎる!だって・・・・・・
「も、もう予定入り始めてますよ?」
「まあ、空いてる子に任せることにしようか」
そ、そんなぁ、無責任すぎやしないか?そう言われて、スケジュールのチェックだのなん
だのやるのは俺なのに・・・・・・
 仕方なく俺は、戻るやいなやその日の各アイドルの予定をチェックする・・・・・・そろそろ
みのも○たにでも相談したいな。もう12時間以上の勤務がかれこれ連続で十日になってる
し。
 そんなすぐに現実逃避に走る頭を抑えこみつつ、一人一人チェックしていくと、
 六月○日
春香:レコーディング
千早:レッスン

とまあ、こんな感じで空いてる子が中々いない。
 ダメか・・・・・・と思いつつ見ていると、
真:
と空欄、つまりオフになっていた。真には悪いけどまあ、仕方ない。我慢してもらうことにしようか。
 ――一人になってから、刺激が少なくなってるようだしな・・・・・・
 それにしても、どうして株主総会なんてお堅いイメージしかない行事なんかにアイドル
を呼んだんだろうか。
 理由を知るにはしばらくの時間が必要だった。 


 そして株主総会当日。
 まあ、朝、真にこの話をしたらやっぱり真も意味が分からないと言わんばかりの表情を
していた。
「か、株主総会ってたまにテレビで様子を見ることがあるんですけど、どう見てもアイド
ルが入れる空気じゃないと思うんですけど・・・・・・しかも、仕事内容にトークショーまであ
るし」
残念ながら全面的に同意せざるを得ない。どういうことなんだろうかね?下調べはしたん
だが、にわかには信じがたい話ばかり出てきて困っていた。
 疑問を抱いたまま株主総会の会場へと向かう。
 
 中に入ると、そこはゲームショウ会場だった――
 なんていう馬鹿馬鹿しいフレーズが出てきてしまうような、そういう会場だった。
 バンダ○ナ○コの株主総会っていうのは子持ちの株主を意識したことをしているらしい
。この大ホールと思われる部屋の中には、この会社が制作した、最新のゲームであるとか
、玩具であるとかが並んでいるのだ。 「すっごい!こんなことまでやってるんですね」
全くだ。ここまでして会社の宣伝をやっていようとはまさに「ヨソウガイ」なわけだが。
 実はこの手のメーカーは結構同じようなことをやっているらしい、というのは後で律子
から聞いた話だ。
 
 午前中に総会をやって、真のトークショーは午後からになっていたので、とりあえず午前中は色々なブースを回ってみることにした。
 まずは真の希望で格ゲーのブースへ。
 ゲームショウの時はつい熱中しちまったなあ、と感慨にふける暇もなくブースに到着した。
 そこにあったのはかの人気剣術アクションゲームの最新作である。
「あ!これ2はやったことあるんですよ!結構面白いですよね」
ああ、学生時代には初代のアーケード版を散々やりこんで、ちょっと前に緑の勇者が参戦
するからと、釣られてゲーム機ごと買ったっけ・・・・・・などとどうでもいいことを思い出し
つつ、試遊台の前へとやってきた。
「あれ、キャラクター全然違ってますね」
「まあ、確か設定的には前作からかなり後の話みたいだしね」
などと他愛もないが少々濃い気がする話をしつつ、キャラクターを選び、ゲームスタートである。
 相変わらず真は結構強い。やったことがあると言った通り、手慣れた様子でこちらへと向かってくる。 


 だが、こっちにも元全国区の意地がある。衰えはしたが、負けるわけにはいかなかった。
 しばらくすると、俺たちの戦いぶりを見た奴らがやってきて、手に汗握っ・・・・・・てるかは知らないが、行く末を見守っていた。
 勝負は何とか俺が勝利したが、一時は真に押されっぱなしになったりもし、真の格ゲー
センスを改めて実感した。
 もうしばらく格ゲーブースに居たかったが、残念ながらファンに見つかり避難せざるを
得なくなってしまった。
 次に、アーケードの方へと行った。
 途中、アイドルを育成するゲームなんてのを見つけたりなんかもして、中々いい仕事す
るなこの会社、と思ったり、とある太鼓のゲームで、雪歩のあの曲を見つけたりして、中
々いい時間を過ごせた。
 ちなみに、なぜか総会の会場から高木社長が出てくるのを見かけたのは内緒だ。
 
その後、真のトークショーは、大いに盛り上がったようだ。なんでも、その場でゲーム対
決をやることになったらしく、意外な真の実力に会場が沸く声が舞台裏にいた俺たちにも
聞こえてきた。
 その後のライブも好評で、マーケティングの面でも大いにプラスになりそうだ。まあ、何より真が楽しめたのが一番、だがな。
 
〜パーフェクトコミュニケーション〜
 
おまけ。
 「そういえば社長、いくら向こうが出資してるといっても、どうして株主総会にウチのアイドルを呼んだんですか?」
「ああ、実は私は元々向こうの社員でな、・・・・・・」
そういえば、社長が初めてプロデュースしたのは、かのワンダー○モだったっけな。

 終わり 



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