プラネタリウム

作:ファル

春も深まったある日…
俺は一人自分の部屋である事について思想にふけっていた。
と言っても四畳半しかないのだが…
どうすればよいかと悩んだときに俺はひとつ閃いた。

「よし!これでいこう」

これならいけると俺は思った…この部屋を広げるにはちょうどいい
そして翌日…既にそれは出来上がっていた
手作りのプラネタリウム…まぁ化学の本に書いてあった造りに
アレンジしたようなものだが…
しかし俺はその中に、まったく実在しない星を入れた
そしてその星は…一番輝いている…名前は…俺しか知らない
そしてその翌日…

俺は真…そう、菊池真のプロデュースのために765プロに来ていた
しばらくして真が来た。

「おはようございます、プロデューサー」

「ああ、おはよう…」

そして俺は一日真のプロデュースに精を出した
気付けば時刻は夕方…そんな時、不意に俺が真に話しかけた。

「なぁ真」

「何ですか?プロデューサー」

「その…今日家に来ないか?」

ちょっとストレート過ぎた、だがこれぐらいしなければ真は来てくれない
すると真は…

「良いですよ、どーせ暇ですし」

案外さらっと許可が出た、よし昨日作っておいた「アレ」を出すときだな


気付けばもう俺の家…もとい部屋なのだが、昨日作っておいた「アレ」を
見せるにはいい機会だな。 


「うわぁ、プロデューサーってここに住んでるんですね」

「汚いが我慢してくれ」

真はまだこの四畳半の中にひとつしかない星があることを知らない。
だが何故だろう…近づいてるのに…真から離れてる…遠ざけている。
俺は真に触れることをあきらめているのか、いや駄目だ。
せめて星の名前だけは教えておこう。

「なぁ真」

「何ですか?」

「あそこにプラネタリウムがあるだろ、あれはな…」

やめておけばよかった。
この日から約一ヵ月後…真は活動休止が決まってしまった
あの日俺は真に俺の「光」を届けようとしたんだ。
だけどどこかで「届く訳ない」と思っていた。
でもその光は消えない。
真が引退して半年になるが、もう俺には真は見えない。
けど真は輝いている。触れようとして真の名前を呼んでみる。
しかし返事は返ってこない。
だが一番眩しい星の名前は俺しか知らない。
俺のプラネタリウムで一番眩しいのは…菊池真だ。 



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