sailing day

作:ファル

三浦あずさ…1年前よりデビューし、以後名声を高め続け
ランクSにまで上り詰める、しかし、ちょうどプロデュース開始から1年が経ち、遂に活動終了となってしまった。
これは、三浦あずさと、その活動を影で支え続けたプロデューサーの、活動終了からラストコンサートまでの記録である。

ラストライブ5日前、深夜

「くっ…俺もここまでか…」

そう言ってPは目を閉じる、絶大な人気を誇った突然の引退…これほどまでに急な話はなかった。
ふと、Pは目を閉じているはずなのに微かなまぶしさを感じた。

「何だ?…この感覚は?」

そういってPはそれを掴み取ろうしたが目は閉じているため映らない。
それは遠く滲んでいた。

「変なものを見たな…」

どうやらPはまだ自分をやめてはいないようだ。

「たった一つの栄光…それを手にするためなら何人でもアイドルを世に送り出すつもりだった…今それがかなった。
これは俺とあずささんとの…航海の日々…なのか…?」

「よし、やれるだけのことをしてみよう、それが正解か否か…判断する権利があるのは俺だけだ」

そうつぶやくとPは夜明けを待たないで出社していった。 


同時刻、あずさの自宅

「数えたら、きりがないわね…プロデューサーさんとの思い出」

あずさはためらっていた…Pとの思い出を簡単に使っていいのか。
しかし、そんなことを聞いたら呆れられるだろう。
そのときあずさは目をかっと開いた、そこには確かなまぶしさがあり、それは抜け殻のようになったあずさを元気付けるものだった。

「これからは自分ひとりで歩いていかなければならない、駄目よあずさ、プロデューサーさんとの別れを怖がっちゃ…。」

「ラストコンサートのときに、プロデューサーさんに私がステージにいる、それを証明しなきゃ
後悔した事も、オーディションで負けた事も、私とプロデューサーさんにだけ意味がある。
思い出すのよ、プロデューサーさんとの思い出…後悔の日々を!」

「悲しかったことも負けたことも全部プロデューサーさんに教えてあげなきゃ…」

このとき二人は気づいていたのかもしれない…それぞれの見たまぶしさがそれぞれの道であることを…。

ラストコンサート当日

いよいよラストコンサートの日がやってきた、あずさにはとある決意があった。

「私は私のやり方で…このステージにすべてをぶつける!」

一方Pも…。

「あずささんが食いの無いようにやってくれればそれでいい」

こんなことを言っていた…そして2人は打ち合わせを済ませ、ついにラストステージが幕を開けたのである
ステージは滞りなく進み最後の一曲になった

「皆さん、今日は来てくれてありがとうございました、最後の曲は、私の大切な人に贈ります。『9:02pm』」

最後の曲はあずさの持ち歌、「9:02pm」だった。

「あずささん、今まで…ありがとうございました。」

Pがそうつぶやく中でラストステージは幕を閉じた。しかし時代が変わろうと、お互いに作り上げてきた思い出…「後悔の日々」を
忘れることは無いだろう 



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