作：ユルカ
「……誰が考え出したんだか……この企画……」
俺の手には、ある企画書が握られている。
そこには、こんな事が書かれている。
『アイドル漫才！』
名前から分かると思うが、
各プロダクションのアイドルを２人選び、
その二人がコンビを組んで漫才をしてもらうという、
いわゆる、バカらしい……いや、バカ企画だ。
無論俺も断る気でいたのだが……。
「どうせなら、ちょっと想像してみるのもいいかもしれないな」
と、頭の中で誰と誰を組ませるかを考えてみた。
まず……誰を外すかだが……
雪歩とあずささんは除外だな……。
雪歩はいつ穴掘り出すか分からないし、あずささんは漫才の時間が３倍になりそうだ。
千早も……除外だな。
「そんな暇があったら、歌を歌っています」とか言いそうだし。
なにより、真が言うには千早は「ボケ殺し」だそうだ。
大体、千早に漫才は似合わない。
伊織はどうだろうか？ それもどうかと思う。
「私の魅力を引き出す仕事、持ってきなさいよっ！！」
とか言われそうだ。
残りは、春香、やよい、律子、亜美、真美、真、美希か……
このメンバーだと、ツッコミは律子で決まりだな……
……ボケは？
ボケは誰が適任だ？
亜美と真美は……やめとこう。
ステージが混沌状態になりそうだ。
同じ理由で美希も却下……。
ボケ候補が春香とやよいと真か……。
……まいったな。どれも捨てがたい。
じゃあ、実際にやると仮定して考えるか……
春香と律子の場合
「律子さん、クッキー作ってみたんですけど、食べてもらえませんか？」
「お、おいしそうね…………涙の味がするわよ」
「え！？ あー！？ さ、砂糖と塩間違えましたー！！！」
……これ漫才か？ どう見ても素の春香じゃないか。
やよいと律子の場合
「ことわざで才能を持っているのに努力をしないのは『宝のやさぐれ』って言うんですよね！」
「や、やさぐれてどうするのよ！ 「もちぐされ」よ。」
「え、そうなんですか！？ え、えーと、他には『腐っても体操着』……」
「『そうぎ』いらない！！ 鯛よ、鯛！！」
「ええっ！？ えーとえーと……」
やっぱり、素がでるな。……いや、やよいはここまで酷くないぞ……。
真と律子の場合
「律子、ボクいつもかっこいいかっこいいって
言われてるんだけど、どうしたらいいかな？」
「可愛く見られたいのね？」
「そうそう。このなけなしのフェロモンでさ！」
「あら？ 真のフェロモンはなけなしじゃないでしょ？」
「う、うれしいな、律子がそんな事言ってくれるなんて……」
「真は王子様フェロモンたっぷりでしょ？」
「な、なんでそうなるの！！？」
…………一番ネタにしてはいけないな……これは。
もういいや。考えるだけ時間の無駄だな。
俺は破棄用ボックスに企画書を入れておいた。
明日には、小鳥さんが破棄してくれるだろう。
さて、仕事仕事……。
（了）
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