ある日の昼下がり

作:ファル

うーん、どこにあるんだろう…」

ある日の昼下がり
今事務所で探し物をしているのは高槻やよい
彼女が探しているもの手とは…

「社長の話だと、耳掻きは机の引き出しに入ってるって言ってたけど…」

彼女が探しているのは耳掻きだった
彼女ほどの年齢になれば、耳掻きは自分でするものである

「あったあった、これだ」

「何をしているの?やよいちゃん」

「あっ、あずささん」

耳掻きを見つけた彼女の前に現れたのは同じ事務所に所属する三浦あずさだった

「耳掻きを探していたんですよ」

「耳掃除するの?それじゃあ、私がやよいちゃんの耳掃除してあげる」

「えっ…いいんですか?」

「構わないわよ、どうせ私、午後から暇なんですもの」

「それじゃあ、お言葉に甘えて…」

やよいがあずさの傍で横になろうとすると… 


「やよいちゃん、横になるならここにしてちょうだい」

あずさは自分の膝をぽんぽんと叩いた

「えっ…それって膝枕するってことですか?」

「ええ、そうよ」

やよいは多少なりあたふたしているようだ

「じ…じゃあ…お願いします」

やよいはあずさの膝の上に頭を乗せる
硬くなっていたやよいだったが、あずさの柔らかい膝の上に乗ると一気にリラックスした

「じゃあ、左耳からね」

やよいの耳の中に耳掻きが優しく入ってきて、耳垢を取っていく

「やよいちゃん、痛かったら言ってね」

「ぜんぜん痛くないです、むしろ、とても気持ちいいです」

あずさは耳掃除を続ける、次第にきれいになっていくやよいの耳
やよいはあずさの膝の上でうれしそうに笑っていた

(こんなことしてもらったの…何年ぶりだろう)

「左耳終わり、次右耳ね」

「はぁーい」

やよいは頭を反転させる、とても気持ちいいようだった

「うふふ、やよいちゃん、気持ちいい?」

「はい、とても気持ちいいです」

あずさは左耳の掃除をはじめだ、左耳より耳垢がたまっていたのか
よく取れる、やよいの気持ちよさも増す
あまりに気持ちよかったやよいはこんなことを言ってしまう

「ふぁ…お母さん…」

(うふふ、かわいいわね)

やよいは眠くなっており、自分が言ったことに気がついていない
それでもあずさは耳掃除を続けた
そして数分後… 


「やよいちゃん、終わったわよ」

耳掃除が終わり、やよいに呼びかける、一方のやよいは…

「お母さん…おかぁさん…気持ちいい、ふわぁっ…」

あずさの膝枕で気持ちよさそうに眠っている上に夢まで見ていた

(起こしちゃうとかわいそうね、しばらくこのままで居ましょうか…)

あずさは、自分の膝で眠っているやよいを見下ろした

(やよいちゃん、かわいい)

「おかーさん、ふぇぇっ…」

(私って、母親に向いてるのかな?)

あずさはそんなことを思っていた
そしてやよいはいつまでも幸せそうに眠っていた 



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