作:567
「トーストは…OK、サラダとオムレツもOK、ミルクは…っと、ここは歌の通りじゃなくて
コーヒーの方が良いかな!?」
朝の明るい光の中、おいしそうな香りに満ちたキッチンでは、真新しいテーブルに朝ご飯が並びます。
これで、朝ご飯の準備はOK!さて、次のお仕事に取り掛かりましょうか。
「さ〜て、それじゃ天海春香、行っきま〜す!!…ってもう天海じゃなかったっけ。」
軽くツッコミを入れながら寝室に入り、カーテンを開いてお部屋に朝の光を取り込みます。
それから、ベッドに近付き、コンモリと丸くなったままのお布団に、声を掛けます。
「プロデューサーさん、朝ですよ。起きて下さい。」
「………。」
「プロデューサーさんったら、起きないと遅刻しちゃいますよ!!」
「……。」
こうなったら、実力行使です。私はお布団をつかむと、思いっきり……
持ち上がりません…見ると、お布団をしっかり掴んでる指が見えています。
「もうっ!起きてるなら、ちゃんとお返事して下さい!プロデューサーさん!!」
すると、お布団の中から、くぐもった声がこう聞こえて来ました。
「うちには、プロデューサーさんはいません。名前か、他の呼び名で呼んで下さい。」
そう言われても…だって、今までずっとプロデューサーさんとしか呼んだ事無いのに、結婚したら
急に他の呼び方なんて…プロデューサーさんは私の事、ずっと春香のままなのに…何かズルいです。
でも…ちょっと恥ずかしいけど、呼んじゃいます…せ〜の!!
「お、起きて下さい…あ、あの……あ・な・た!」
次の瞬間、私は白い何かに包まれ、ベッドの上に押し倒されていました。
私が、その白い…お布団から、やっと顔だけ出すと、目の前にはニコニコしたあの人の顔が…。
「はい。今朝もよく出来ました(笑)」
「毎朝、毎朝、もう!ちゃんと起きて下さい!」
「ハハハ、しかしオレの呼び方、まだ直らないかい!?」
「だって、出会ってからずっと、プロデューサーさんとしか呼んだ事無いんですよ。そう簡単には無理ですぅ。」
「う〜ん実は、オレもそっちのほうが聞き慣れてるかも…。でもなぁ。」
「は〜い、努力しま〜す。それより、時間が…。」
「えっ!?うわっ!今朝も、ちょっとじゃれ過ぎたか!?」
そういうと、私を置いたまま、プロデューサーさんはお部屋の外へ走って行ってしまいました。
こうして、今日も我が家のあわただしい朝が始まります。(笑)
おしまい。
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