頭脳戦バスタブー

作:しまんばら

「プロデュー、いえ、ご主人様! え? なんでそんな呼び方なんだ、ですか? だって前にプロデューサ
 ーさんが私に言ってたじゃないですかー。とかく男は、呼ばれ方にこだわりがあるんだって。その時は
 キモいなー、とか思ったりもしましたけど、でも、不肖この天海春香、ご主人様の為に一肌も二肌も脱
 いじゃいます! っていうか脱ぎます! もー、今更そんな抵抗なんてー……え? ご主人様なんて呼び
 方、もっと没個性に磨きをかけ……?」

ヴぁい!

 あたた……まさか春香に殴られる日が来るとは。しかも、これがギャグじゃなかったら洒落になってな
い類だぞあれは。オートで美希がりれーしょんしちゃうぞこんちくしょう。
 というわけで今日もまた今週の“のワの”さんの元から逃げ出したわけだが、こっちまで戻ってくる時
間が微妙に勿体無いなー、なんて思いながら俺は事務所のドアに手をかける。そうだ、俺にはアイドルた
ちを頂点に導く使命があるんだ。その為にはどんな困難であろうと立ち向かって、
「第三回ぃアイマス、ニコニコプロデューサーさん争奪クイズ大会ぃ〜」
 俺は逃げ出した。 

「それではぁ、プロデューサーさんも来たことなのでぇ、張り切っていきましょぅ〜」
 全裸で正座させられている俺の横であずささんがテロテロと司会を進める。ちょっと前まで事務所であ
ったこの場所も、今は安っぽい書割りのセットが組まれグダグダな深夜番組のようにも思えた。なにより
逃げる俺をエヴァ○ゲリオンも真っ青な、どっきりびっくりクリーチャーで追いかけてきたやよいの恐怖
が今も離れない。
 うっうー。前回、触れもしなかった罰ですこの身の程知らずー。
 心の中でまよちょんに謝り続ける俺を、何事も無くアイドル達は進めていく。全裸待機なぞ今更なのだ
ろう。
「それではぁ、真ちゃんと美希ちゃん、頑張ってくださいねぇ〜」
 回答者席にはとてもクイズには向いてないだろうと思われる二人が頭を抱えて立っていた。どうやら早
抜け方式らしく、既に正解している他のアイドル達が声援を送っている。最近はバカタレントが流行って
いるからなあ。
「ではぁ、第573問目ぇ〜」
 バカすぎだろ。
「AT-Xで放映されていましたぁ、ロボットアニメ『アイドルマスターXENOGLOSSIA』での主人公、天海春香
 ちゃん役をやっていた声優さんはどなたでしょうかぁ〜?」
 ……まあ、頑張れ。
 案の定、また頭を抱える二人。それぐらいは憶えてもらわないとこっちとしてもちょっと困っちゃうけ
ど、それでもどちらかが動き出すまで黙る。すると、美希がティンと思いついたのか、勢い良くボタンを
押す!
「美希、出てないから分からないの」
 うん……それなら仕方ないかな、っていうかコメントしづらいからやめてこの展開。
 もちろん、ブブーッと不正解のブザーが鳴る。残ったのは真一人、頼んだぞ脳筋鬼神。
 しばらく悩んだ後、力なくボタンを押す真。ありゃ分かってない顔だな。
 うーうーと、意味になっていない呻き声をあげる真。しばらくして、ギブアップとばかりに、
「う〜……分かんないよぉ! っていうかボクも出てな


 その後、不正解となった二人に、罰ゲーム用の竹刀を持った杜若薫さんがケツバットを豪快にかます。頭
の次はお尻を抱えて痛がる二人を他所に、薫さんは俺にウィンクをかます。どうやら今夜は俺もケツを痛め
ることになりそうだ。
 もう涙も涸れました。 

「そういえば優勝者って誰なんですか?」
「亜美ちゃんですよぉ〜」
「え!? あの逆立ちヒポポタマスがっ?」
「ゼノグラ版なんですぅ〜」
「……」 



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