双子とメガネ

作:名無し

「なぁ、律子。折り入ってお願いがあるんだが。」

 ある日の事。妙に猫撫で声で話し掛けてきたのは、双海亜美・真美のプロデューサーだった。

「明日、亜美と真美にダンスレッスンをする約束をしていたんだが、
急にイベント先との打ち合わせが入っちゃってさ…。」

 それは、自分の代わりに、2人のレッスンを見てやってくれないか?というお願いだった。
もっとも、レッスンを見るというのは口実で、あのハイテンション姉妹を野放しにしておくと、
ロクな事にならないから、というのが本音なのだろう。

(しばらく亜美・真美とも、まともに会ってないし、私が断れば、たぶん小鳥さん辺りに
お鉢が回って行くのだろうけど、はたして小鳥さんにあの2人が抑え切れるかな?)

 頭の中で、パパッと考えを巡らせた律子は、すぐに返事を返した。

「えぇ、いいですよ。久し振りに亜美たちにも、会ってみたいし。」
「そうか!すまないな。律子のプロデューサーには、オレの方から言っておくから。
じゃあ、明日の午後から頼むな。」

(あぁ、惜しい!最後のひと言は余計ですよ。私のスケジュールを先に確認しないなんて。
それじゃあ、先にうちのプロデューサーに話をつけてあるのがバレバレですって。)

と、心の中で呟きながら、それでも快く応じてくれる律子だった。 

 そして、レッスン当日。何にでも興味を持つが、熱しやすく冷めやすい亜美・真美と、
しっかり者で世話焼きだが、その分、言いたい事は遠慮無く言い放つ、律子との組み合わせでは、
さぞや騒々しいレッスン風景となると思いきや、今日に限ってはそうでもなく、
広いレッスン場に律子の声ばかりが響いていた。

「は〜い!ちょっと休憩。ひと休みしましょ。」

 律子の声をきっかけに、ノロノロと壁際まで下がると、そのまま床に座り込む亜美。
そんな亜美のもとへ駆け寄るのは、双子の姉、真美だった。

「はい、亜美。タオルとお水。」
「うん…ありがと…。」

 亜美にそれらを渡すと、隣に腰を下ろし、自らも顔の汗を拭き始める真美。
亜美と交代で“アイドル双海亜美”を演じている真美もまた、同様にレッスンを受けているのだ。

 それにしても、今日の2人の様子は少し…いや、かなり変だ。
いつもなら、いいかげん飽きて来て、ブツクサ文句を言い出す頃合いなのだが、
2人共今日は文句どころか、口数自体が少ない。特に亜美のほうが元気がなく、
今も真美にすら、最低限の返事しかせず、後は無言のまま座っている。

 当然、ダンスそのものも精彩を欠いているし、そんな亜美を気遣ってか、真美のほうも
あまりレッスンには、身が入っていないようだった。 

 そんな2人を渋い顔で眺めていた律子は、意を決すると2人の前にしゃがみ込み、
2人の顔を交互に見つめながら、話し始めた。

「真美。あんたは、まあまあの出来だったわよ。問題は…亜美のほうね。亜美。どこか具合でも悪いの?」
「ううん。そんな事……ない。」
「そう!?じゃあ、家か学校で何かあったの…かな?」

 そう言いながら、チラリと真美のほうを見る律子。
一方、2人のやり取りを見つめていた真美は、急に視線を向けられ、思わず目を逸らしてしまった。

(やっぱり、何かあったわね。)

 2人の様子から、何かを感じ取った律子だったが、それ以上はその事には触れようとせず

「はぁ〜〜」

と、わざとらしいため息をつくと、こう言い放った。

「まぁ、どっちでもいいけど、このままじゃ真美のほうが使えるって、プロデューサーにも思われるかもね。
そうしたら、亜美。あんた、しばらく真美と交代ね。ひょっとしたら、このまま愛想尽かされるかもよ。」

 こんな言い方をされれば、普段の亜美なら本気になって突っかかって来るはず。
これは日頃から亜美・真美を知っている、律子流のヒッカケだった。 

 ところが、それを聞いた亜美は、突っかかって来るどころか何も言わず、じっと下を向いてしまった。
やがて、ヒクヒクと体を震わせ始め、次に顔を上げた時、その瞳に涙を浮かべ、
そのうち、堪えきれなくなったのか、その口からは、小さく震えた声が洩れ出していた。

「ヤダ…ヤダよ……。亜美…兄ちゃんにまで、嫌われたら……。」
「あ、亜美!違うよ、そんな事ないって…。兄ちゃんは亜美の事、嫌ってないから。」

 思わぬ反応に驚いている律子の前では、真美が亜美をなだめようと、懸命に声を掛けるが
逆にそれがきっかけとなり、とうとう亜美は大声を出して泣き始めてしまった。

「うわぁぁぁん!!」
「律っちゃん、ひどいよ!!」

 怒りの矛先を律子に向ける真美だったが、すでに驚きから立ち直っていた律子は、
2人の肩に手を置くと、そっと諭すようにこう言った。

「今は、思いっきり泣きなさい。亜美もずいぶん我慢してたみたいだし。」

 その言葉に、思い当たるふしでもあったのか、真美もそれ以上何も言わず、
広いレッスン場には、しばらく亜美の泣く声だけが聞こえていた。

 しばらくして、落ち着きを見せ始めたのを感じた律子は、そっと亜美に声を掛けた。

「さぁ、もう落ち着いた?亜美。」
「うん…。」
「それじゃ、最初から話してくれるかな?」
「うん…。あのね……。」

 こうして、亜美は涙の訳を話し始めた。それは数日前のクラスでの出来事だった。 

  −−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−−

「は〜い!それじゃ、これから席替えの抽選を始めま〜す。」
「よ〜し!いよいよだよ、真美。」
「うん!ついにこの時が来たね。今日こそ窓際の1番後ろの席、ゲットだね!亜美。」

 新しく席を決めるあみだくじを前に、気合い充分の亜美と真美。
そんな2人に、亜美の隣の席の女のコが、声を掛けて来た。

「亜美ちゃん、真美ちゃん、何か今日は気合い入ってるね。」
「当然っしょ!待ちに待った席替えだよ!でも、みっちゃんとは、また隣の席になれるといいな。」
「うっうん…そう…だね…。」
「よっしゃぁ!みっちゃんと一緒に、窓際もゲットだぜ!」

  −−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−−

「席替えかぁ…。じゃあ、亜美はそのコと離れて、それでしょげてたの?」
「ううん。亜美は窓際の後ろから2番目、一番後ろは、仲良しのみっちゃんが当たったの。」
「じゃあ、良かったんじゃない。そのコとはまた一緒になれたんでしょ。」
「うん…だけど……。」

 そして放課後、みんな新しい席へと移動する中、なんと亜美の後ろには
みっちゃんではなく、クラスの男子が座っていた。

  −−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−−

「ちょっと!何でアンタがここにいるのよ!?そこはみっちゃんの席でしょ。
さては、みっちゃんから無理矢理…。」
「違げ〜よ!アイツのほうから、替わってくれって言って来たんだよ!」
「そんなわけないじゃん!みっちゃんとは、また隣になれたらって言ってたんだもん!」

「違わね〜よ!先生と一緒に来て、そう言ったんだからな!
はは〜ん、さてはお前と一緒だとバカになるからって、こっそり先生に頼み込んだんだな。」
「バカとは何よ!」
「うるせ〜よバカ!学校を休んでばっかのくせに。文句があるなら、直接本人に聞きゃいいだろ!」

  −−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−−☆−−− 

「そっか〜。で、亜美はそのコに、直接聞いたんだ。」
「うん…。だけど、みっちゃん……。」

 再び涙が溢れそうになり、続きを話す事が出来なくなった亜美に代わって、真美が続きを話し始めた。

「亜美も興奮してたから、ちょっときつい言い方しちゃって…。
そうしたら、みっちゃんが泣き出しちゃって…。それで、クラスのみんなが集まって来て、それから…。」

 結局、みっちゃんからちゃんとした説明を聞く機会を失ったまま、2人は仕事で学校を休む事になり、
今日まで鬱々とした日々を送って来たというのであった。

「ねぇ。みっちゃんは本当に真美たちの事、バカだから嫌いになっちゃったのかな?
だったら、真美たちはどうやったら、バカじゃなくなるのかな?」

 今度は亜美だけでなく真美まで、目を潤ませ始めた。
いつもなら、何でもすぐに行動に移す2人が、こうも二の足を踏むとは。
その結果如何では、親友を無くしてしまうかという思いで、その胸を痛めていたのかと思うと、
律子は再び2人の肩をしっかりと抱き、静かに話し始めた。 

「あんたたちはケンカしてても、こうやって相手の事を思いやる事が出来るんだから。
2人は決してバカじゃないわ。
それに、みっちゃんってコも、そんなに急には2人の事を嫌いにならないと思うなぁ。
だって、席替えまでは変な所はなかったんでしょ。」
「だったら、何で……。」

「問題はそこよ。例えば、仲良しの2人にも言えない理由とか…。
亜美、真美、最近そのコの様子に何か変わった所はなかった?」
「え〜と…。いつもと一緒だったと思うけど…。」
「うん。休み時間には一緒におしゃべりして、お昼もずっと一緒に食べてたし…。」

「普段通りだったのかぁ…。何もないはずはないんだけど…。
亜美、真美、何でもいいから、もうちょっと、しっかりと思い返してみて。」
「う〜んと……。あっ!そう言えば、みっちゃん、最近よく目の所が赤くなってたね。」
「そうだよ!授業中でも、何だか目をこすってたみたいだった。」

「目をこする…?1番後ろの席……。」

 律子が考え事をする時のいつものポーズ、片方の腕を胸の所で組み、もう片方でメガネを触ったその時、
律子の脳裏にピン!と来たもの…それは、懐かしい思い出だった。

「そうか…何だ……ア、アハ…アハハ、アハハハ!何でこんな事、思い付かなかったんだろう!?」

 突然笑い出した律子に、さっきまでメソメソしていた2人も、あっけにとられたような顔をしている。
やがて、そんな2人に気付いた律子は、何とか笑いを収めながらも、ニコニコしながら
説明をし始めた。

「あ、ごめん、ごめん。あんまり懐かしくってさ…。
あのね、そのコが席を替わった理由はね、たぶんコレよ、コレ!」 

 そう言うと、片手でメガネのフレームを持ったまま、上下に動かせて見せた。

「コレって…メガネ!?」
「そう!たぶんそのコ、視力が落ちて来ちゃったんじゃない?
授業中、黒板の文字がよく見えないから、目をこすってたのよ。きっと。
そのコの新しい席って、前の方…たぶん、真ん中の1番前辺りじゃないの!?」
「そう…だけど、どうして?律っちゃんには、何でそう思えるの?」

「アハハ…。実は私も小学生の頃、似たような経験があったのよ。もっとも、私の場合は
あんたらじゃなくて、そのコの方だけどね。
きっとそのコは、メガネを掛けるギリギリの視力なんじゃないのかな?
だから、席を替わってもらえたのよ。」

「でも、そうならそうと、あの時ちゃんと言ってくれればいいのに。」
「たぶんお母さんとか、先生も、そのコの視力の事は知っていて、
席替えの時には、前のほうの席にしなさいって言われていたんだと思うわ。
それに…きっとメガネを掛ける事自体、恥ずかしかったのね。」

 そう言うと、律子は天井を見つめ、何かを懐かしむように話し始めた。

「私も小学生の頃、視力が落ちちゃってさ。一番前の席に進んで座ったり、色々と抵抗してみたんだけど
とうとうメガネが無いとダメになっちゃってね。」
「うん。」
「メガネ屋さんで、初めてメガネを掛けた自分の顔を見た時は、何か雰囲気も変わっちゃって、
すごくショックだったなぁ。」
「そんなに変わっちゃうのかな?みっちゃんは、みっちゃんだと思うけど。」 

「自分も周りも慣れちゃえば、どうって事ないんだけど、慣れるまでは友だちに嫌われるんじゃないかとか
人にからかわれるんじゃないかとか、変な事ばかり考えちゃうのよ。
亜美だって、さっきまでそうだったんじゃない!?」
「う、うん…。そうだよね。」

「そんな不安を抱えてる時に、自分が望んでいないにしても、友だちとの約束を破っちゃって
その事を本人に問い詰められたら、亜美ならどうする?」
「うん…。たぶん頭の中がいっぱいいっぱいになって、やっぱり泣いちゃうかも…。
亜美、ひどい事しちゃったのかな…。」

 再びうなだれる亜美の肩を、律子は少し強めに揺すぶりながら、こう言った。

「また落ち込んでどうするの!?だったら亜美がそのコを守ってあげなきゃ!」
「守る?亜美が!?」
「そうよ。さっきも言ったじゃない、人にからかわれるかもしれないって。」
「じゃあ、律っちゃんも、最初は何か言われたりしたの?」
「そうよ。私なんか教室に入るなり、『メガネザルが来た〜!』って。」
「うわっ!そんなの言われたら、みっちゃんまた泣いちゃうよ!」

「まずは、学校に行ったら最初にそのコに謝って、お互いスッキリしなさい。
それから、もし誰か、ちょっかいを掛けてきたのがいたら……。」
「ガツ〜ン!と一発…。」
「コラコラ!それじゃ、ケンカになっちゃうでしょ。そんな時にはね、こうやるの。
あのね……。」

 律子は、2人に顔を寄せると、小声で何かをささやいた。 

「えぇ〜っ!?そんなのアリ?」
「でもさ、それだったら、ぜったいケンカにはならないよね!」
「そっか〜。よ〜し!そうと決まれば、さっそく練習だよ!真美。」
「オッケ〜!律っちゃん、ちゃんと見ててね。いくよ!!」

 先ほどまでとは人が違ったように、率先してレッスン場の真ん中に飛び出していく亜美と真美。
その後しばらく、レッスン場にはいつもの2人の歓声と、律子の笑い声が響いていた。

 数日後、その日の仕事を終えた律子が事務所に帰って来ると、
そこには亜美・真美の熱〜い抱擁が待っていた。

「うわっ!ちょ、ちょっと何!?亜美、真美??」
「律っちゃ〜ん!お帰りなさ〜い!」
「真美ぃ、寂しかったのぉ。ゴハンにする?オフロにする?それとも、ア・タ・シ!?」

「こっこら!離れなさいってば!まったくそんなの、どこで覚えて来るのよ!?」
「えへへへ。律っちゃん、こないだは、どうもありがとう。
あれから学校に行って、みっちゃんに謝ったら、やっぱり律っちゃんの言う通り
メガネを掛けないと、ダメだったんだって。」 

「やっぱりね。で、仲直り出来たんだ。それで、その後は何も無かった?」
「ううん。やっぱりお約束なのかな?同じ事言うヤツがいてさ…。
でも、律っちゃんに教わった通りにやったら、もう大ウケで、メガネなんてどうでもよくなっちゃった。」
「やっぱりねぇ…。ま、小学生だから、そんなにボキャブラリーもないか。」

 ハイテンションな亜美・真美と、チラリと皮肉を覗かせる律子。
そんな、いつも通りの掛け合いに割って入るかのように、おずおずと声を掛けたのは
亜美たちのプロデューサーだった。

「よ、よう、律子。こないだはご苦労さん。ところで…その、何だ、亜美たちが元気になったのは
嬉しいんだけど、その…どうやったんだ?」
「どうって…あ〜っ!さては、亜美たちが悩んでるのを知ってて、私にレッスンの代理をさせましたね!」
「い、いや、決して律子なら何とかしてくれるとか、そんな意味じゃ……。」
「そんな意味じゃって…じゃあ、どんな意味なんです!!」
「そ、それは、その……。」 

 まさにプロデューサーの胸ぐらを掴まんばかりに詰め寄る律子。
と、その時、2人の間に割って入ったのは、亜美と真美だった。

「ウキ〜ッ!兄ちゃんも律っちゃんも、ケンカしちゃダメだよ。」
「そうそう!そんな事より、真美たちを見てよ!ウホッウホッ!!」

 そう言うと、真美はゴリラのように自分の胸を両手で叩くしぐさをして見せた。
一方、亜美はと言うと、片手で頭を掻きながら、ダラリと下げたもう片方の腕を
ブラブラさせて、チンパンジーよろしく律子たちの周りをグルグルと回り始めた。

「ウキ〜ッ!ウキキキッ!」
「ウホッ!ウホホッ!!」

「プッ!な、何だ、お前ら!?アハ…アハハ、何やってんだ!」

 実はこれこそ、律子が亜美たちに教えた“ケンカにならない方法”メガネザルを逆手に取った
モンキーダンスだった。
相手の挑発に乗るのではなく、それを変化球で返して、逆に相手の戦意を逸らしてしまう。

 自ら教えた方法に、まんまと引っ掛かってしまった律子は、一瞬ニヤリと苦笑いを溢すと、
次の瞬間には気持ちを切り替えていた。 

「ウフフ、そうだったわね…。さてと、プロデューサー!」
「は、はい!」
「亜美たちも元気になった事だし、レッスンのごほうびをいただきたいんですけど?」
「な、なんだ、そんな事か…。で、何がいいんだ?」
「そうね…。モンキーだからバナナ…トロピカル・フルーツたっぷりのスイーツなんて
どうです!?」
「ス、スイーツ!?そうか、よし!お安いもんだ。」
「やた〜〜!スイーツだ〜!」
「ねぇねぇ、いつにする?亜美たちなら、今日これからでもいいよ。」
「う〜んと、今日は無理かなぁ。お店も決めてないし、他のみんなのスケジュール調整もあるし。」

「えっ!?みんなって…オレたちの他に誰かいるのか?」
「イヤだなぁ。残りのアイドルのみんなと、小鳥さんですよ。」
「えっ!?い、いや、しかし、レッスンの面倒を見てくれたのは律子だけじゃ…。」
「あら?他のみんなだって、亜美たちの事心配してたんですよ。だったら、ちゃんとみんなにも報告するのが、
スジなんじゃないですか!?それとも、自分の担当アイドルさえ良かったら、他のみんなはどうでも…
そんな冷たい事を言ってたなんて、他のみんなに知られたら…。」

「い、いやっ!そんな、そんな事はないぞ!い、いいじゃないか、賑やかなほうが楽しいしな!
ア、アハ、アハハハ……。」 

「よしっ!じゃあ私は小鳥さんと、みんなのスケジュールを調整するから。
お店はと……そうだ!こういったお店は、春香が詳しいのよね。」
「ラジャ〜!じゃあ亜美たちが、はるるんにお店を調べてもらうよう、メールしとくよん!
ついでに、みんなにも知らせとくね!」

「じゃあ、そっちはお願いね。さて、小鳥さ〜ん!あのですね……」

 さっそく小鳥さんの元へ駆け寄り、あれこれと相談し始める律子。
一方こちらでは、亜美と真美が2人でケータイに向かい、何やらメールを打ち始めていた。
そんな中、部屋の隅では、プロデューサーが自分のサイフを覗き込んで、とても深いため息をついていた。

 数日後。

「♪とにかく…ダイエット…無理を…承知で……♪」

 新曲を口ずさみながら、次の給料日までダイエットに勤しむプロデューサーが
約1名いたとか、いなかったとか。

おしまい。 





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