肉まん

作:名無し

P「おはよ〜律子って、な、なんじゃこりゃ」

律「(モグモグ)あ、おはようございます。プロデューサー。
ひとつ、いかがです?」

P「こりゃまた、でかい肉まんだな。いったいどうしたんだ?」

律「実は、とある番組で大好物の肉まんがあります〜という
話をしたら、そのお店の人がお礼ですって、送ってきてくれまして」

P「ありがたい話だが・・・100個はあるな。しかし、食べ
切れるのか・・・?」

律「ご心配なく! 事務所の娘たちは食欲旺盛だし、冷凍す
れば結構もつし・・・」

P「・・・余ったら実家で売れるし、とか、思ってないだろうね?」

律「(ギクッ)・・・あ、あはは。ゴホン。ところで、プロ
デューサー、どう思います? この肉まんについて」

P「うん、具だくさんだし、皮もふんわりだし、なかなかいけるよな」

律「うんうん。でもまだ足りないところがあると思うんですよねぇ」

P「そうかな? 味は申し分ないと思うけど・・・」

律「でも、一度食べないとわからないじゃないですか。味は、
外見からではわからない。つまり・・・?」

P「え? つ、つまり・・なに?」

律「もう、しっかりしてくださいよ、プロデューサー。お客
さんの手にとってもらう、演出が足りない、ってことですよ」

P「な、なるほど・・・」 


律「肉まんってみんな同じような形してるから、積極的なア
ピールによる差別化が重要になるんです。例えば醤油とか辛
子の小袋を添えるとか、あんまんと肉まんの二色まんにするとか・・・」

P「こんなふうにふたつ並べて、あんまんと肉まんで紅白ま
んじゅう風に、とかな」

律「むぅ、祝い事にもつかえるし、売価もあげられるし・・
・やりますね、プロデューサー。そう、何事も素材を生かす
演出が必要ってこと。アイドル業も同じですよ?」

P「(そうきたか・・・)む・・・でも、律子。お前だって、
その演出自体への好き嫌いが激しいからなあ」

律「それは好き嫌いじゃなくて、私を光らせない演出だって
思うから、手を抜・・・じゃなくて私なりにアレンジしてるわけです」

P「・・・ひょっとして、律子はまだ十分に自分の魅力を理
解していないんじゃないか?」

律「まさか!! 自分の魅力はぜ〜んぶ分析済みです!」

P「・・・ふふふ。さっきの肉まんと同じ話だよ。今の律子
には足りないものが、確かに、ある」

律「!! むむむ・・・」

P「その、ふたつ並んだ肉まんをよくみて、負けてると思う
ところを考えてごらん?」

律「むうぅ・・・」

P「ほらほら、どうした?」

律「・・・いや、私のほうが少し、大きいかも・・・」 


P「え?」

律「!! ////」

P「今のは、このふたつ並んだ肉まんより、バストが大きい
と、なるほど・・・」

律「あ、あぅぅ、そ、そうじゃなくて・・・」

P「わかってるじゃないか!「己を知り敵を知れば百戦危う
からず」だよ、律子。君は事務所で二番目に大きいはずなの
に、なぜかあふれんばかりのフェロモンを抑えることばかり
考えている。二番目に大きいのに!」

律「ちょ、ちょっと声大きい・・・」

P「あずささんなんて、ボーッと立ってるだけで男たちが寄
ってくるんだ。たとえ二番目に大きい律子でも、そこにフェ
ロモン全開の演出を加えれば、それはエロイ、いやえらいこ
とになるに決まっている!」

律「・・・うぅ、ぷ、ぷぷぷプロデューサー! ちょっとコ
ラ!! 真昼間から、こんな二番目にお・・・バストが大き
いとか、あのその、あぅう、社会人として、いや人間として、
どうかと思いますけど!!!」

P「・・・誰がバストの話をしているって?」

律「へ?」

P「事務所の娘の中で、年齢が二番目に大きいって話をして
いたつもりだったんだがなあ・・・」

律「え、えええ!!」 


P「律子には、我が事務所では貴重な、大人の色気を持った
アイドルとしての自覚を持ってほしい、と俺は思っているん
だ。18歳になったらやれる演出って、結構あるんだぞ?」

律「あ、あぁ、そ、そういう話・・・」

P「それに、バストの話は、律子、この、ふたつ並んだ肉ま
んより大きいと、お前からはじめたんじゃないか」

律「ぐうぅ・・・」

P「・・・でもそうか、事務所では、あずささんの次に胸が
大きいのか・・・。」

律「・・・」

P「この肉まんよりも、でかいのか・・・」

律「あうぅ・・・」

P「決めたぞ律子! 大人のフェロモン戦略は、律子も強く
意識している胸をどんどんアピールしていく方向でいこう!
 もうばんばんグラビアの仕事とってきちゃうぞー。うしゃ
ー、気合はいってきたあぁ!! よし、いってくる!!!!」

律「プロデューサー! 待って、ちょっと待ってぇぇぇ」

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