聖なる時を越えて・アナザーバージョン

作:一読者

 「自分のしていることがわかっているのかね?」
 高木社長が、今日もう何度も口にしていることをまた口に出した。
 「君が、いつもプロデュースしているアイドルと仲が良すぎることはわかっていた。
しかし、君が一生懸命女の子を見てあげて、
    彼女らも君を信頼しているからこその仲のよさと思って大目にみてきたつもりだ。
それがここであだになるとはな」
 社長が深いため息をつく。

 社長に言われるまでもなく、いま俺がしようとしていることはやはり許されざることだった。
 自分がプロデュースしているアイドルと恋におちる。
 それは店に並んでいる商品に手をつけることに他ならない。
 厳しい処分はもちろん覚悟して、俺は報告に臨んでいた。

 「君はもう新人じゃない。
いや、あと一息で『アイドルマスター』かというような位置にいる。そんな君が………」
 そう言って、また社長が深いため息をつく。

 後ろでは、モップをつかんだままのやよいが
掃除をするどころではないような顔をして心配そうに見ている。
 やよいのほかにも、俺はたくさんのユニットを育て、
そしていまも進行形でプロデュースしている娘もいる。
  世間では俺のことを「売れっ子プロデューサー」としてみているらしい。
 社長も言うとおり、俺はもはや新人ではない。
していいこととしてはいけないことも十分心得ていた………つもりだった。

 過去にも、思いをぶつけてくれた娘はいた。
それでも俺は公私を厳格にわけていた………はずだった。
 しかし………今回プロデュースした三浦あずさは別だった。
 あずさの魅力に、俺の理性は勝てなかった。
いや、もうあずさを手放すことなど、俺にはとうていできなかった。
 結局は、自分から愛を告白することになった。
 あずさはそれに応えてくれた。
………そしてそれは俺のプロデューサー業としての終焉を意味していた。
 俺の地位や、いやあずさ以外のすべてのものを捨て去ってでも、
俺はあずさ一人のほうがいとおしかった。

 俺の報告を聞き、社長は最初は口を大きく開けてしばらく何もしゃべれず………
 続けて事務所中に響くような声で怒鳴り………
  そして最後は懇願する口調で俺に翻意をうながした。
 やさぐれていた俺をここまで育て上げ、
 勝手なことばかりしていた俺をあたたかくフォローしてくれた社長。
  そんな社長に恩をあだで返すようなまねをしている………
 そのことに対しては俺は胸が詰まるような思いでいた。
 しかし………しかし、それでも!

 「申し訳ありません。本当に………申し訳ありません」
 俺は、これももう今日何度言ったかわからないセリフが口から出た。
 「これだけ言っても、やっぱりダメか………」
 社長の口から、ついにあきらめの言葉が出た。
 「この765プロをここまで大きくしてくれた君だが………
ほんとうに惜しいが、やはり社長として規則は曲げられない。………君は………」
 社長の次の言葉は出なかった。唇をギュッと噛み、押さえ切れない思いをこらえているように見えた。

 静寂を破ったのは駆ける足音だった。
 「いやだ、いやだ! 兄ちゃん、行っちゃやだ!」
 亜美がぶつかるように俺にしがみつき、大きく首を振って泣き出した。
 続いて、やよいの口から泣き声が上がった。
 時をおかず、泣き声の合唱が始まった。

 俺は思わず後ろを振り向いた。
 いつのまにか、765プロのほとんど全員がそろっている。
 雪歩がうずくまって肩を震わせている。
 ふだん感情を表に出さない千早が嗚咽を漏らしている。
 伊織が後ろを向いて、柱を叩きながら泣いている。
 律子が泣き顔を見せないようにか、パソコンにしがみついて顔をうずめている。
 真と春香が抱き合ってアイドルとは思えないような大きな声で泣いている。
 普段事務所から遠く離れたところにいる小鳥さんまで事務所で泣き声の輪に加わっている。
 これだけの人に俺は………俺は、失うものの大きさを体じゅうに感じていた。

 しかしそれでも、俺はあずさとの愛を貫く!
 なにがあっても。
 決心は揺らがなかった。

 泣き声がようやく収束し、重たい空気が事務所を包んで………どれくらいの時間があったか。
 社長が、ようやく重い口を開いた。
 「別の世界に行っても、幸せになりたまえ」 


 俺とあずさは、しばらくして引越しした。
 山あいの小さな町、その町はずれにある一軒の家が俺たちの新居だった。
 俺は今まで稼いだ金を無造作に使う生活をしていたし、
元アイドルとはいえ活動1年足らずのBランクアイドルで終わった
  あずさもたくさんの貯金があるわけではなかった。
 しかしあずさはニコニコしながら、少ない………
とはいえ俺なんかとはケタが違うくらいの………貯金を全部出してくれた。
  恐縮しきりの俺だったが、あずさはそんなことはまったく気にしていないようだった。
 「だって、あなたといっしょに仕事してなければ、もともとアイドルができなかったわけですし、
   それにあなたがいてくれたからこそ、わたしはここまでがんばってこれたのですから」

 いろいろと探して、町はずれにあった空き家を見つけた。
 決して新しいわけでもないし、豪華な、というわけでもないけれど、
つくりのしっかりしてそうな、落ち着いたたたずまいの日本家屋だった。
 あずさはその家を見て、土間がある………
すっかり成長した愛犬「とらたん」の居場所がある………ことに喜び、
  畳の香りがする部屋に喜び、そして、小さいながらも庭があったことに喜んだ。
 「いまならネギやしそ、春になったらハーブでも植えてみましょうか、うふふっ♪」
 そんな会話は、とても「元アイドル」のものとは思えないのだが。
 でも、もしかしたらそんな生活があずさには向いていたのかもしれないな………
  一緒に芸能界でがんばっていたときには、そんなこと少しも気がつかなかったことなのだが。

 俺の再就職先は、律子の実家から紹介された町のスーパー。
 「セールスドライバー」と名がついた、なんでも配送業、みたいな仕事だった。
 朝はやくにミニバンで問屋に走り、店頭に並べたり、お客の希望に沿って家まで運んだり、
場合によっては「御用聞き」みたいなことも。
 プロデューサー業とはぜんぜん違う地味な仕事だったが、不思議と違和感なく溶け込めた。
  むしろ接待されるのが当たり前な顔をされていた以前よりも、
  お米や味噌を運ぶとお茶を出して感謝してくれる
近所のおばあちゃんの笑顔と接しているほうがずっとうれしかった。
 俺は朝早くでかけ、夕方に帰ってきて、
愛犬「とらたん」の散歩、風呂、そしてあずさの手作り夕食を食べながら
  あずさとテレビを見ながらいろんなことを語り合うのが日課になった。
 あずさによれば、たまにアイドル時代の熱心なファンや芸能記者を家の近くで見るらしいが、
時がたつにつれてだんだんと忘れ去られていくだろう。

 それから1ヶ月、俺たちは町の公民館で結婚式を挙げた。
 両家の家族と友人(俺のほうはいなくて、あずさの友人「友美」だけだが)だけの、
とても元アイドルの結婚式とは思えないような
  質素な、そして元アイドルの結婚式とは思えないような心温まる結婚式だった。
 あずさはバージンロードを歩いているときからすでに泣き出し、
友美に「今日のあなたが一番きれいよ」と言われて大泣きし、
  肝心の父への手紙のときはもはや一言もしゃべれず、かわりに急遽俺があずさの父親に向けて
  「あずさを、かならず、幸せにしてみせます!」などとアドリブをかませたりしたのだが。
 そんなあずさを見て、何人もの人がもらい泣きしていたっけ。
 いや、実は俺も最後は不覚にも大粒の涙を流してしまったのだが。
 しかし、………しかしできれば765プロのみんなにも見てもらいたかったなぁ、
と俺は思わずにはいわれなかった。 


 それからしばらくたって、不意に家に千早が訪ねてきた。
 不意に、とはいえ、昼ごろあずさの携帯にメールはあったのだが。

 「あずささん、おひさしぶりです!」
  いつもの格好ではなく、真がいつも着ているようなボーイッシュな服装に髪の毛を束ね、
大きな帽子をかぶっている。
 「いらっしゃい、千早ちゃん」
 「あ、これおみやげです。地方ロケの」
 千早は地方ロケが終わって、スタッフと別行動でここに寄り道してきたらしい。
地方ロケといっても、ここからけっこうな距離はあったはずだが。
 「あらありがとう。おもたせになっちゃうけど、お茶にしましょうか、うふふっ♪」
 「その『うふふっ♪』っていうの、久しぶりに聞きました。あずささん、かわってないですねぇ」
 「せっかくきてもらって悪いんだけど、あの人は今日はお仕事なのよ、今日は遅くなりそうね」
 「えぇ、でも今日はあずささんに久しぶりに会えただけでもうれしいですから」

 お茶を飲みながら、千早は最近のことを話し始めた。
 真と律子のデュオがHITーTVで雪月花との一騎打ちになり、
1点差で負けて今週いっぱいはお休みしていること、
  伊織が最近「高飛車」な態度をとっていない………
今のプロデューサーとは本音でいけないからわざと抑えているよう………こと、
  亜美と真美の暴走ぶりに新プロデューサーが胃をおかしくしてしまったこと、
  雪歩が近頃夜遅くまで苦手のダンスレッスンをしていること、
  高木社長が一気に10歳以上も老け込んでしまったようで、
  やよいや春香が必死に事務所で明るく振舞っていること、など………

 「実は、わたしも最近は自信が無くなってきて………
○○さんの時の様に行かない感じがして………
  今回も『カラフルメモリーズ』の参加をやめて、地方ロケを志願したんです」
 「千早ちゃんまで………責任、感じるなぁ………」
 「でも、今日あずささんの幸せそうな顔を見て、がんばらなくっちゃ!って気持ちになりました。
  きょうここに来たのもその為、ってところもありますし………それに………」
 千早は、ここで一瞬言葉を切った。
 「せっかくお二人が幸せになっているのに、
私達が『○○さんがいないから負けた』っていわれるの、すごい嫌じゃないですか」
 あずさは黙って聞いている。
 「みんな………口に出しては言わないけど………○○さんがいないぶん、
これからは自分たちでがんばらなくっちゃ、って。
 ひとりひとりが『大人になろう』ってがんばっているような気がしています」
 あずさの瞳から一筋のしずくが漏れた。
 「………ありがとう………」
 「なに言ってるんですか。○○さんとあずささんがいたからこそ、私達は頑張ってこれたんですから。
 お二人は私の、いえ私達の目標ですから!」

 土間のほうから、とらたんの甘えた声が聞こえた。
 「あらいけない、こんな時間。とらたんの散歩の時間………」
 「あ、わたしもつい長居してしまいました。明日も早いですし、このまま新幹線に乗って帰りますわ」
 「え!?わたしはてっきり今日は泊まっていくものかと………」
 「なに言ってんですか。『人の恋路を邪魔するやつぁ、馬に蹴られてなんとやら♪』っていうでしょう」
 千早が珍しくおどけた調子で節をつけて言うのにあずさは思わず笑ってしまった。
 が、千早はそのあと、フッと寂しげな表情を浮かべた。
 「………それにわたし………○○さんの顔を見たら、きっともう帰りたくなくなってしまうと思うから」 


 12月24日。
 昼間にあらかたの仕事を終えた俺は、日が落ちる前に家路に向かっていた。
 前の日に志願して遅くまで残業していた甲斐があったというものだ。
 あずさと二人っきりで過ごす、初めてのクリスマス・イヴ。絶対に逃すわけには行かない。
今日ばかりは残業なんてしていられない。
 去年のイヴはなにをしていただろうか。たしか業界のパーティーに出た後、
 クラブでケバいおねえちゃんやうさんくさい連中と朝まで飲み明かしていたっけ。
 今年のイヴは一味違う。
 俺が覚えている限り、こんなにわくわくしているのは、子供のころ以来だ。
 俺が運転するミニバンの助手席には、この日のために俺の安月給の、
そのまたさらにほんのわずかな小遣いをしぼり出して買った
 ハーフ・ボトルがある。お酒のあまり強くないあずさのために甘口を選んだ。
 昼前まで何とかもっていた空からついに小雪が舞いだした。
 慎重に、そして気持ちだけははやるものを抑えることができず、
俺は知らず知らずのうちにアクセル・ペダルを踏む足に力が入った。

 「ただいま」
 「おかえりなさい、あなた」
 台所から小走りに出てきたあずさ。俺はやさしくあずさのほほに唇を寄せた。
 「思わず早く帰ってきてしまったな。時間があるから『とら』の散歩でも行ってくるか。いくぞとら!」
 ウォン!と「とらたん」が勢いよく走ってきた。
俺が首輪にロープをつけ、鎖をはずしたとたん手に強烈な力がかかった。
 「あらあら、やっぱりわたしのゆっくり散歩ペースより、あなたのほうがいいみたい」
 「そうなのかな、よし、最近体もなまっていることだし、ちょっと走ってくるか」
 俺ととらたんはもうすぐ西の空に消えてしまいそうな夕日に向かって走り出した。

 散歩と風呂を終え、パジャマに紺色のどてらを着て、俺はコタツにもぐりこんだ。
 食欲を刺激するいい香りが鼻をつく。
 某Kフライドチキンと、おそらく朝から準備していたのだろう、
ホワイトクリームシチューが食卓に並んでいる。
 なぜか、子供のシチューのように
星型やハートマークにくりぬいたニンジンが見えるのにはちょっと笑ってしまったが。
 紫色の………俺とおそろいの………どてらを着たあずさがコタツに入る。
 あずさのワイングラスにほんの少し甘口のワインを注ぐ。
 そしてあずさが俺のグラスにワインをそそいでくれた。
 二人で声をそろえる。
 「メリー・クリスマス!」

 空腹の俺は、まずあずさ特製のシチューを口に含んだ。
 あたたかい感触がからだじゅうにしみわたってくる。
 「どう、おいしいですか?」心配そうにあずさが聞くが、それは「愚問」と言うものだろう。
 これをまずいなどと言うやつは、この世に誰一人としていないはずだ。
 皿のシチューはあっという間に俺のおなかに吸い込まれた。
 「うふふっ♪もちろん『おかわり』もありますのよ」
 「よくわかっていらっしゃる!」

 「えっと………できれば2杯目は『あれ』でいきたいんだけど」
 「えぇ、わかっていますわ。そう言うと思って、ちゃんと用意してありますのよ」
 あずさは深いお皿に炊きたてのご飯をいっぱいによそい、そしてその上にシチューをかけてくれた。
 「せっかくのイヴだってのに………俺って品がないなぁ」
 「うふふっ♪わたしは自分が作ったご飯を
美味しそうに食べてくれるあなたを見るのが大好きですから。
 せっかくだから、ちょっとわたしもやってみようかな」
 あずさは茶碗に半分くらいご飯をよそい、そしてシチューをかけた。
 「わたしも………今日から『猫まんま』党になりそう………うふふっ♪」 


 食事が片付き、さっぱりしたコタツの上に湯のみが2つ並んでいた。
 とらたんは今日のハードな散歩で疲れて寝てしまったようだ。
 台所仕事を終えたあずさがコタツに戻ってきた。
 手に何かを持っている。
 「はい、いっぱいがんばってくれた旦那さまに、私からのプレゼント♪」
 「え、開けていいのか」
 あずさがうなずくのを待って、俺は静かに袋を開けた。
 紺色の、ちょっと俺が着るとブカブカになりそうなセーターだった。
 もちろん、あずさの手編みだろう。
 「これからの季節は冷えますから………風邪なんかひかないように………」
 「ありがとう。でも今日の俺は何も持ってきてないよ………」
 「ウソ言わないで。あのワイン、自腹で買ってきたんでしょう」
 「うぅ、あずさには、すべてお見通しだなぁ」
 「あたりまえでしょう。愛する旦那さま、ですもの♪」
 あずさの頬が赤らんでいるのは、決してワインのせいばかりではないようだ。
 
 「でも、俺がこういうことになって、華やかなクリスマス・イヴじゃないなぁ。
あずさにはつらい思いをさせているかもしれない」
 「つらい………???」
 「アイドルらしい、そんな生活もあったかもしれないなぁ………って」
 あずさが、急にまじめな顔になった。
 「確かに、アイドルらしい華やかなクリスマス・イヴが悪いとは思いません。でも………
 でも、わたしは愛する人と二人きりで過ごすクリスマス・イヴのほうが何倍も価値があるものですわ。
 あなたは本当に私を大切にしてくださいますし………」
 「あずさ………」
 あずさがこたつから出て、そして俺の後ろに回りこみ、そっと両の腕を俺の首に回してきた。
 「あなた………あなたは以前『みんなのアイドルを、これからは俺ひとりのものにするんだなぁ』って
おっしゃったことがありますよね」
 「うん………って、そんなこと言ったっけかなぁ」
 「実は、私もそうです。
事務所の女の子たちの憧れだったあなたが………女の子たち全員の王子様だったあなたが………
 これからは、わたしひとりだけの王子様になってくれる………って」
 「………」
 「わたしよりも、もっと魅力的な娘達ばっかりだったのに、
わたしでよかったのかしら………そう思ったときもありましたけど、
 いまこうやってあなたのそばであなたのぬくもりを感じて………あぁ、うれしい、って」
 「………」
 「わたし………幸せ。はっきりと、いまそう言えますわ」
 俺は答えの代わりに、俺の首に巻かれたあずさの腕に俺の手をそっと添えた。
 あずさは抗わなかった。
 少しの時間、俺とあずさはお互いの体温を感じ、そしてどちらともなくそっと体を離した。
 俺はコタツから這い出し、そしてあずさと向き合った。
 次の俺の行動がわかったのか、あずさの瞼がゆっくりと閉じられた。
 「愛ずるひとよ………あずさ」
 俺はあずさの唇を自らの唇でふさぎ、そして、お互いの舌が絡み合った。

 俺が唇を離すと、あずさは急に恥ずかしそうに下を向いた。
 「なんか………わたしたち、もう夫婦なのに………
一緒に生活している夫婦なのに………恋人同士みたい。
 なんだか急に恥ずかしくなってきちゃった」
 そんなあずさの恥じらいも俺にはいとおしかった。
 でも、実は俺も自分のしていることが恥ずかしかったのは事実だ。
 そんな自分を見破られまいと、違う話を振った。
 「あとは………俺たちに『神様からのプレゼント』がほしいな………」
 「神様からの………プレゼント???」
 答えの代わりに、俺はあずさのおなかのあたりをそっとさすった。
 「そうですね。でも、きっと神様はいつかわたしたちにくださいますわ」
 「そうだね」
 「ゆっくりと、待ちましょうね」
 
 外は本格的な雪なのだろう。物音ひとつ聞こえない。
 あずさの息の音も、はっきりと聞き取れる。
 再び、俺たちはお互いに寄り添った。
 静かな、そして外の寒さとはまったく関係の無い、あたたかい時間が俺たちに流れていた。(了) 

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